日本銀行は、追加緩和を行うことなく現在の金融政策を維持し続ける可能性が高い。市場では追加緩和への期待が浮上したり、後退したりするだろうが、日銀の金融政策は日本の国債金利や円相場の大きな変動要因になりにくいと思われる。今後の円相場を左右するのは、世界景気動向や海外主要国の政策を背景に、市場のリスク許容度や海外金利がどのように動くか、ということになろう。
ドル円については、FRB(米国連邦準備制度理事会)の12月利上げ観測をめぐる米金利動向が変動要因の一つとなりそうだが、近年は米国の金利に一つの“変動パターン”がある。
それは、FOMC(米国連邦公開市場委員会)がFRB議長の記者会見やFOMCメンバーの経済見通し発表を伴わない場合には、会合後に次回会合をにらんで米国金利が上昇傾向となり、議長会見や経済見通し発表を伴う場合には、会合後に金利が低下傾向となることだ(図1)。
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FOMCは、議長会見や経済見通しの発表がある会合とない会合が交互に来る。市場は次回会合について、議長会見や経済見通し発表がある場合に比べ、それらがない場合には利上げの可能性が低いと見るため、こうした傾向が生じるのではないか。米国の経済・金利見通しが下方修正されてきたことも、一因だろう。
最近でそうならなかったのは2015年7月のFOMC前後だ。7月上旬にかけてギリシャのユーロ離脱懸念が高まった後、ギリシャ首相が緊縮策を続けて金融支援継続を求める姿勢に転換したため、支援合意期待から8月前半にはリスクオン(リスクを取る)の動きが広がり、米国金利が上昇した。その後、中国経済への懸念で米国金利は急低下。利上げの可能性があるとされた9月FOMCにかけて再び上昇したが、利上げ見送りにより反落。10月FOMC声明で12月に利上げをするか否かを判断することが明示され、再び米国金利は上昇した。
ただし、FF先物金利のピークは3月以降切り上がっておらず、頭打ちである。
8月以降に米国金利が低下した原因は、中国発の株価下落や景況感悪化にある。悪化していたマークイットの中国製造業PMI(購売担当者指数、15年10月から速報値の発表中止)は、輸出受注の増加などから10月に改善したが、中国の内需回復は鈍いようで、景気減速の影響が他国に及びやすい状況だ。10月は米国や日本の製造業PMIが改善し、世界景気減速懸念は一服しているが、10月に進んだドル高が11月の米景況感を悪化させる可能性もある。
12月中旬のFOMCにかけては米国金利やドル円が強含みしやすいにしても、上昇幅は限定的だろう。




















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