9月下旬にフィリピン最大の不動産デベロッパー・アヤラランド社が、投資家向け高級マンションのショールームを日本に開設した。価格は2000万円台から最高6億円まで。来日した同社のトニー・アキノ取締役は「過去30年にわたる構造改革の結果、フィリピン経済は『薄暗い空(東南アジア地域)における輝ける星』になった」と述べ、フィリピン経済の先行きに自信を示した。
BPOや1000万人を超える海外出稼ぎ労働者からの送金が支える同国の実質GDP(国内総生産)成長率は2014年が6.1%。15年も6%成長が見込まれる、東南アジアの中でも例外的な優等生だ。世界の新興国に目を向けると、このところ悪材料ばかり目につく。
筆頭が中国。政府の公式発表では15年上期は7%成長を続けたとされるが、同国のGDP統計に投資家は懐疑的。「実際には5%成長で、もしかするとマイナス成長かもしれない」などといわれる。
中国の経済の実力を見るうえでよく知られているのが「李克強指数」だ。15年4~6月期の実質成長率は前年比7%であるのに対し、ブルームバーグ試算による同指数は4~6月各月は2~4%台と、大きく乖離し、投資家の疑念を裏打ちしている。
では、新興国ブームは終わったのか。三菱UFJ国際投信の入村隆秀・経済調査部次長は「どんな国でも年率8%以上の高成長を50年間も続けられるわけはなく、減速は不可避。リーマンショック以降の景気急回復を支えたことから、『今後は新興国が世界経済を牽引する』とされたが、その見方が楽観的すぎただけ。新興国の成長は大きく劣化してはいない」と指摘する。
1990年代の通貨危機後、2000年代に入って新興国は為替相場をドルペッグから変動相場制に切り替え、金融政策によって国内経済を管理する先進国型の政策運営に移行した。その結果、高かったインフレ率は低下し、経常赤字も改善されるなど、新興国経済は安定した。
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先進国と新興国の成長率格差(図1)は縮まったとはいえ、依然として新興国は世界経済の牽引役だといえる。
では、90年代末に起きたような新興国発の通貨危機は起きうるか。リーマンショック後にFRB(米国連邦準備制度理事会)が量的緩和に踏み切って以降、新興国に大量の資本が流入した。今後何らかのショックが起きて新興国から資本が流出すると、通貨危機が再来しかねない。
リーマンショック時の新興国の資本流出状況と外貨準備を調べると、これほど大きなショックが起きても耐えうる程度の外貨準備が積み上がっていたことがわかる(図2)。
トルコやブラジル、南アフリカなど一部の国では、流入した資本が経常収支赤字の補填に使われ経済構造の高度化に結び付かなかった。が、数字を見るかぎり、通貨危機や大規模な信用収縮に陥る懸念はなお小さいといえそうだ。






















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