iPhoneに続く次の革新的製品を生み出す揺りかごは、もしかすると日本になるかもしれない。アップルは9月、横浜市港北区綱島のパナソニック綱島事業所跡地で、テクニカル・デベロップメント・センター(TDC)と称する技術開発拠点の建設に着手した。1万2500平方メートルの敷地に4階建てと平屋の2棟を建設、2017年3月末までに完成を目指す計画だ。これこそが安倍晋三首相が14年12月、衆院選に向けた街頭演説で明らかにした、「アップルにとってアジア最大級の技術開発拠点」だ。
アップルは技術開発拠点については、所在地や規模などをほとんど開示していない。このため横浜のTDCがアジア最大級か否かは検証しようがない。また一部のメディアは、アップルが米国以外に開発拠点を開設するのは初めてと伝えているが、実際には欧州や中国に開設済みとみられる。ただ、日本で本格的に開発拠点を立ち上げようとしているのは確か。すでに人材紹介会社を介して、半導体関連などのエンジニアの採用を進めているようだ。「日本の大手電機メーカーからサムスン電子に転職したエンジニアが複数応募している」(業界関係者)という情報が漏れ聞こえてくる。
採用規模は数十人程度とみられ、決して大所帯の拠点ではないようだ。だが建設計画の概要によると、駐車スペースには100台以上が利用できるような大きな空間が確保されている。つまり相当数の関係者が日常的に出入りすることを前提に設計されているのだ。おそらく米国本社のエンジニアが長期滞在したり、世界各地の取引先企業が出入りしたりするのだろう。横浜市経済局は「アップルの拠点をきっかけに、さらに多くの企業や頭脳が横浜に集まるようになれば」と期待を寄せるが、その期待どおり、電子関連技術における世界的なホットスポットとなるかもしれない。
この記事は有料会員限定です
残り 562文字

