消費の冴えない状況が続いている。総務省の家計調査によれば、物価の影響を除いた実質消費支出(2人以上の世帯)は、6月がマイナス2.0%、7月もマイナス0.2%と2カ月連続で前年同月を下回った。
5月が前年の消費増税による落ち込みに対する反動から前年同月比プラス4.8%だったため、6月の悪化は悪天候によるものとされたが、それだけではなさそう。
内閣府の「消費動向調査」によれば、消費者マインドを表す消費者態度指数は消費増税実施の1年前の水準を下回ったまま(図1)。増税後、人々が消費に積極的になれない状況を示しているといえる。
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その理由の一つとして指摘されているのが、日々支出を余儀なくされる食料品の値上がりだ。消費者物価の総合指数よりも「生鮮食品を除く食料」は増税後の上昇率が大きくなっている(図2)。
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ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「デフレ脱却を掲げる安倍政権は、消費税の転嫁拒否や消費税分の値下げを法律で禁止するなど、企業が値上げしやすい環境を作った」と指摘する。「過去には、円安局面で原材料高となっても、消費者への転嫁はなかなかできなかった」(斎藤氏)。
そうしたムードの中、飲料、菓子、調理食品など食料品は2015年に入っても値上げが続いている。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「チョコレートなど、容量を減らすといった実質値上げが広がった」という。食料品の値上がりは収入の少ない層ほど打撃を受けるという問題がある。「加工食品の価格上昇に頼って“デフレ脱却”を主張するのは本末転倒」と上野氏はアベノミクスを批判する。
一方で、名目の収入があまり増えていないことも、家計が防衛に走る理由だ。
「毎月勤労統計」の6月分でもサプライズがあった。現金給与総額が前年同月比マイナス2.5%と大きく減少したことだ。原因は、「特別に支払われた給与」の大幅低下(同マイナス6.7%)。つまり夏のボーナスの減少だ。同統計を所管する厚生労働省は「夏季賞与は7月、8月に支払われることも多いため」と説明していた。ところが、9月に発表された7月の現金給与総額は前年同月比プラス0.6%にとどまり、“後ズレ期待”は不発に終わった。
名目賃金水準の伸びが鈍いうえに、増税と便乗値上げで物価水準は上昇したため、実質賃金の水準は増税前よりも一段低い状態が続く(図3)。これが消費不振の背景だ。
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先行きはどうか。ニッセイ基礎研究所の斎藤氏は「原油価格の下落から、物価上昇率がマイナスに転じることが見込まれるのは消費にはプラス。だが、名目賃金の伸び悩みから消費の伸びは鈍いだろう」と予測する。
安倍政権は企業に対し賃上げ要請を行っているが、先行き国内経済の成長が見込めない中で、やはりその効果は限定的といわざるをえない。




















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