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ライフ #下流老人

高齢者になっても未来展望を持ち続ける 心の備えが必要

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さとう・しんいち●早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。医学博士。日本老年行動科学会前会長。『後半生のこころの事典』など著書多数。(撮影:梅谷秀司)

今は老化の速度が一昔前の世代と比べて遅い。以前は50代くらいから徐々に弱っていったが、今は75歳か80歳あたりまで元気に過ごしてから急に弱るパターンが多い。だから60代でも、自分は老人だという自覚を持ちにくい。以前、会社員に対して老後に関する意識調査を行ったが、50代ですら「考えたくない」という回答が多かった。

今や170万人以上が90歳を迎える時代。健康管理ができれば、多くの人は75歳まで社会的活動が自由にできる。しかし、その後は体が弱ってくるだろうし大きな障害を抱えるかもしれない。そうなっても幸せに暮らすには、老いへの心構えをしっかり持っておく必要がある。

妻に先立たれることを想像したことはあるか?

人はその後の人生に大きな影響を与える「ライフイベント」をいくつか経験する。若い頃は進学や結婚、子どもの誕生などよいイベントが多いが、60歳を超えてくると親の死や病気など悪いものが増える。高齢期になると、こうした悪いイベントをどう乗り切るかが重要になる。

たとえば結婚している男性は普通、妻に看取られることを前提に老後を考えている。そういう男性は妻に先立たれると、一気に弱ってしまう。また、妻に介護してもらうつもりでいても、妻が認知症になるなど夫が介護する側に回ることもある。

悪いイベントを乗り越えるためには準備がいる。妻の死などは事前に体験できないので思考実験にすぎないが、経験者の話を聞いたり体験談を読んだりすることがとても役に立つ。まずは目をそらさないようにすることだ。そうすれば、実際に直面した時に、希望を失わずに生きていくことができる。

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