「問題なんてものじゃない。大問題だ。情けない……」。三菱自動車工業の「欠陥車情報隠し」が発覚した日の夜、河添克彦(かわそえかつひこ)社長の表情には無念さがにじんでいた。米国工場でのセクハラ訴訟、総会屋事件などを教訓に「クリーンでオープンな企業になる」との公約を掲げてきた同社。だが、“過ち”は三たび繰り返された。
「三菱は欠陥車情報を隠している」──。運輸省が「内部関係者と思われる人物」から匿名の通報を受けたのは、今年6月半ば。同省の定期検査に際し、欠陥資料を見せていないという内容だった。
この“内部告発”を受け、運輸省は7月5~6日に立入検査を実施。数年間にわたって、欠陥情報の届出漏れが大量にあったことが明らかになった。資料の一部は本来の保管場所ではなく、情報どおり社員のロッカールームから見つかった。会社ぐるみの隠蔽工作が行われていた疑いもある。運輸省は、“リコール隠し”や虚偽報告など道路運送車両法違反の可能性があるとみて、調査中だ。
三菱はリコール・改善対象車は70万台弱に上り、約50億円の費用がかかると説明。しかし、立入検査から約二週間がたち、当該部門の最高責任者が会見に出席したにもかかわらず、具体的な事実関係については「分からない」と繰り返すばかり。「社内に調査委員会を設置し、早急に問題解決を図りたい」としているが、調査委委員長は執行役員の植場惇(うえばあつし)氏。総会屋事件で有罪判決を受けた人物で、「そんな人に調査ができるのか。社長がやるべきではないのか」と追及する声も出ている。
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