学生のアイディアが救急医療を変える? オープンデータが自治体の課題を解決する時代
若手社員のボランティア活動が実を結んだ「DIG2014」
実はこのアイディアは、11月8日、慶応義塾大学とアクセンチュアが主催した「データビジネス創造コンテスト(DIG2014)」に寄せられたものの一つだ。DIGとはDigital Innovators Grand Prixの略で、「過去の智の結晶ともいえるデータを元に、現在を生きる学生が、未来を創造してほしい」という想いをこめて発案された。単にアイディアを競う巷のコンテストとは違い、自治体の抱える具体的な課題について、具体性と実現性を持った「ソリューション」を提案させる点が特徴となっている。
「DIG2014」では、予選を勝ち抜いた10組が審査委員や自治体関係者の前で自分たちの研究をプレゼン。「自治体のオープンデータを活用した政策提言」をテーマに、神奈川県、佐賀県、会津若松市、鯖江市、流山市のデータを用いた少子高齢化政策や教育政策、医療政策などを提言した。
アクセンチュアでは、若手社員たちがボランティアでこの「DIG2014」の開催に向けて奮闘。そのうちの一人、アクセンチュア株式会社 製造流通本部 アナリストの牧之段浩平氏は、DIG参加の理由と手応えについてこう語る。
「通常のプロジェクトでは接する機会のない行政や大学の方々と共に仕事を行う機会は自分にとって良い経験になると考えたため、応募を決意しました。今まで接したことのない業界や、慣習の異なる方々と仕事を進めることには苦労しましたが、自分が支援した自治体担当者様から感謝の意をお伝え頂いた際には、参加して本当によかったと感じました」
同じくDIGに参加したアクセンチュア株式会社 デジタル コンサルティング本部 シニア・ソリューション・エンジニアの吉岡大輔氏も、「コンテスト終了後に、学生同士が新たなアイディアを相談し続ける姿を間近で見ることができました。若い彼らがコンテストという枠を飛び超えて、真剣に日本を良くしたいという強い思いがあるのだと感じ、自分もコンテストを運営する側だけでは無く、参加する側として、より地域・社会へ貢献していきたいです」と、DIGに参加したことで、より前向きに社会に貢献する意志が生まれたことを熱く語ってくれた。
自治体のオープンデータへと取り組みと若手社員の情熱、そして学生の分析力やアイディア。DIGを通じて、現代日本が抱える課題を解決する新しいスキームが生まれようとしている。
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