学生のアイディアが救急医療を変える? オープンデータが自治体の課題を解決する時代

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学生がデータを分析し、
さらなる救急医療体制の改善を提言

佐賀県の救急医療に関するデータを佐賀大学の学生が用いて分析したところ、救急搬送時間のさらなる短縮につながる可能性が見えてきた。

佐賀大学の糸山ゆう氏を中心とするグループは、自分たちが住んでいる地元自治体が抱えている問題に対して何かアプローチができないかと考え、「佐賀県の医療政策」を考えた。救急医療データを解析しつつ、現場のリアルな実態を把握するために、救急現場への取材も同時に行った。その結果、救急搬送に時間がかかる理由として、軽症による救急搬送がかなりの数にのぼること、また薬歴・既往歴が不明なために投薬などの処置に躊躇したり、病院側が受け入れをためらうという事情があることなどがわかった。そこで彼らは、全年齢向けの医療相談窓口である#7119の導入やお薬手帳の積極的な利用を提言。これらによりどのくらい救急搬送時間が短縮されるかを、実データをベースにシミュレートした。

さらに彼らは難聴者の119番通報にも着目し、音声コミュニケーションが難しい難聴者が、簡易に症状を通報できるシステムが必要であると判断した。これらを総合的に解決するものとして、スマートフォンのアプリケーションを開発したのだ。

前述のように、佐賀県の救急患者には高齢者が多い。糸山氏が「アイコンの大きさや色にまでこだわった」と語るとおり、スマートフォンに馴染みのない高齢でも使えるよう、シンプルでわかりやすいユーザインターフェースが工夫がされている。

糸山氏によれば「開発環境を旧バージョンで制作していたため、アプリを実機で起動可能な状態にするまでに時間がかかった」と開発には苦労もあったようだが、これが実現すれば、佐賀県の救急医療体制はさらに改善されるだろう。実際、佐賀県もこのアプリにかなりの興味を示している。

佐賀県 最高情報統括監(CIO)
森本 登志男氏

こうした学生たちのアイディアについて、佐賀県最高情報統括監(CIO)の森本登志男氏も「データは公開することも大事ですが、それ以上にどう活用されるかが大事。その意味では、自治体では思いつかないアイディアを学生が出してくれることは大歓迎です。救急医療だけでなく、観光など、データが活かせる分野はいろいろとあります。これを機に、データを使ってみようという機運がさらに高まり、自治体職員の働き方を変えていくことにつながれば嬉しい」と期待を込める。

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