食と農の問題に多方面から挑む
現代の農学教育が始動
【グローバルイシューの解決へ向けた人材育成】
龍谷大学
食の循環プロセスを一望できる
独自の学びの体系
近年の農学はバイオサイエンスなど専門分化が非常に進んでいる。先端研究の進展そのものは喜ばしい。しかし、その成果が農業のどの部分に貢献するのか研究者自身さえ認識することが難しく、学術的関心と現場の関心が大きく乖離しているという反省点がある。研究者らが「農学栄えて農業廃れる」と自身を揶揄する言葉がそれを表している。
龍谷大学農学部には、植物生命科学科、資源生物科学科、食品栄養学科、食料農業システム学科という4つの学科が設置される。農作物の育成から生産・加工・流通・消費・再生まで、「食の循環プロセス」を網羅しており、いずれの学科に属しても農学の全体像を熟知した上で各分野の専門を高めていくこととなる。植物の生命の仕組みを分子レベルから学ぶ植物生命科学科、農作物の育成技術を学ぶ資源生物科学科はもちろん、管理栄養士の養成課程である食品栄養学科、農業を支える経済、経営などの文系学問を修める食料農業システム学科も例外ではない。目指すは「幅広い専門知識を有した農のゼネラリスト」なのである。
農学の土台は「農学概論」として必修化される。基礎科目群は多彩に用意され、学科の文理を問わず興味や将来のキャリア形成に応じて幅広く学ぶことができる。また、仏教系大学としての特色が如実に表れているのが、農学概論と並行して初年次から履修する「食と農の倫理」科目だ。各学科の教員が自身の専門分野から見た倫理観を説き、宗教を専門とする教員が別の立場から農学の倫理を教える。このようにして宗教倫理、人間倫理、科学的倫理など多様な側面に関わる倫理観を獲得することは、農学の土台と専門分野を結ぶ架橋となる。