武蔵野大学 工学部開設 総合大学として第2ステージへ
9学部14学科を備えた総合大学として、新たなスタートを切る。だが、これも一つの通過点に過ぎないのだろう。教育を充実させ、多くの優れた人材を輩出するとともに学術研究で社会の発展に貢献し、総合大学としての存在感を強めていく、という軸がぶれることはない。武蔵野大学の歩みは、総合大学としての第2ステージに入る。
社会を変革する数理工学
【後援】 臨海副都心まちづくり協議会
【協力】 独立行政法人産業技術総合研究所
[パネルディスカッション] 岡本 龍明氏 西川 正子氏 西成 活裕氏
[コーディネーター] 薩摩 順吉氏
異なるセクター間でのコミュニケーションから
イノベーションが生まれる
11月5日、武蔵野大学有明キャンパス3号館大教室において、臨海副都心産官学連携シンポジウム「社会を変革する数理工学」が開催された。来年4月に予定されている武蔵野大学の工学部開設を記念したこのシンポジウムは、寺崎修学長の挨拶に続き、産業技術総合研究所(産総研)臨海副都心センター所長・八木康之氏による基調講演が行われた。
産総研で実際に多くの産官学連携を体験している八木氏は、「基礎研究、応用研究などさまざまな段階で発明・発見がなされているが、一人の研究者が世の中から隔絶した環境で研究しているのではない」とし、多様な人とのコミュニケーションの重要性を指摘。「企業や行政、大学など異なるセクター間でのコミュニケーションからイノベーションが生まれる」と語った。
そして産総研の役割は、科学分野の発明・発見を産業界に橋渡しすることと定義。持続可能な社会の構築をミッションに掲げ、そのためにグリーン・テクノロジーとライフ・テクノロジーの研究をしていると説明した。そのうえで八木氏は、産総研が開発したパワー半導体素子の量産技術を企業に提供して量産化をしたケースや、産総研と海外の大学が共同で開発した糖鎖バイオマーカの技術を用いて企業が試薬を開発したケースなどを挙げるとともに、武蔵野大学ともライフサイエンス分野で共同研究を行っていることを紹介した。
また、武蔵野大学の工学部開設に祝意を表し、「たとえば、環境にやさしい建築デザインなどを学科間連携により数理モデルで提案してほしい」と期待を表明した。