家族の「証拠隠滅」を助けたら罪になる? 「姉の運転する車で凶器を捨てにいった」
もし家族の誰かが犯罪に手を染めたら――。北海道南幌町で高校2年の女子生徒が祖母と母親を殺害したとされる事件で、女子生徒は、凶器の包丁を「姉の運転する車で捨てに行った」と供述していると、10月初旬に報じられた。
報道によると、女子生徒の供述通り、犯行現場の自宅から5キロほど離れた公園で、包丁が発見されたという。仮に、女子生徒の姉が、凶器を捨てるのを手伝うために車を運転したのだとしたら、姉は凶器を隠すことを「手伝った」ということになる。
「証拠隠滅罪」という犯罪がある
一般論として、犯罪の証拠を隠すことや、それを手伝うことはよくないことだろう。しかし、家族をかばいたくなる気持ちはわかる。もし万が一、家族が犯罪に関わったとき、その「証拠隠し」を手伝えば、自分も罪に問われてしまうのだろうか。刑事事件にくわしい神尾尊礼弁護士に聞いた。
「犯罪の証拠を隠すことは、犯罪の捜査や裁判を誤らせるおそれがある行為です。そこで、そうした行為は、証拠隠滅罪(刑法104条)として処罰されています。
しかし、ここでいう証拠とは、『他人の』犯罪に関する証拠に限られます。たとえば、仮に他人を殺傷した女子生徒が、自分自身で凶器を捨てたのであれば、証拠隠滅罪にはなりません」
なぜ、自分の犯罪に関する証拠を隠しても、罪にならないのだろうか。