夜の街で働く女性襲う「個人事業主扱い」横行の罠 コロナ禍でも働き続けないといけない理由とは?

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ネットを検索し、「個人事業主」扱いでも利用できる社会福祉協議会の緊急小口資金や、原則3カ月間受けられる総合支援資金を借りた。5万円の家賃を払うとそれでも足りず、それまでの給料明細などを集め、収入が激減した自営業を対象にした「持続化給付金」を申請した。

なんとか交通費をひねり出し、求人誌を頼りに飲食店などを10軒以上回った。どこもコロナ禍による経営縮小で採用されず、12月前半になってようやく「ブラック企業大賞」にも名前が挙がった飲食店に、時給1200円、社会保険に加入できない週20時間未満の条件で採用された。

同僚の女性に「この店、休業手当は出るの?」と聞くと「出ないでしょ」とあっさり言った。最初は正社員、次が社会保険に入っているパート、それ以外は最後の最後だから、という。

この店で正午から午後7時以内で週3日働き、ようやく開き始めたキャバクラ店で客がいるときだけ、4時間程度働いてしのいだ。

だが、やがて飲食店の店長から、「閉店まで働けない人は使い勝手が悪いからシフトに入れない」と言われ、シフトが入らなくなった。3カ月の契約期限の更新が近づいたころ、いきなり「ロッカーを空けてほしい」と言われた。「え? 私、辞めさせられたんだ」と驚いた。

そのころ、労働基準法に沿った労務管理をしている“ホワイト”なうどん屋が求人誌でがみつかり、転職できた。だが、ここでも時給は最低賃金水準だ。いまは、残った持続化給付金などで生活費の不足を埋め合わせながら暮らしている。

仕事を途切れさせるわけにはいかない女性たち

「女性の雇用回復」が早いのは、雇用責任逃れのため「個人事業主」扱いなどのあいまいな立場に置かれて休業手当も出ず、仕事を途切れさせることさえできないからではないか、とキャバ&アルバイトユニオンOWLs代表の田中みちこは見る。

実感としては、細切れ雇用のかけもち就労が名目的な雇用者数の「回復」を生み、時給の安さが労働時間の「回復」を促している、というのだ。

「毎月支給され、生活の見通しがきく休業手当に対し、いつ来るか来ないかわからない支援金頼みの不安も、こうした女性たちを追い詰めている」(田中)

2020年の女性の自殺者数は、働く女性を中心に2019年までの過去5年間の平均に比べ15%増え、11年ぶりの自殺者増加の押し上げ役となった。

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