トップ主導型の戦略的オフィス投資が
ビジネスに変革をもたらす
経営戦略を支えるオフィス
大阪での取り組み
通称「KIZUKI LABO」。実際、顧客に自分たちの働き方を見てもらうだけでなく、実験的な試みも積極的に行って、得られた経験を具体的な提案につなげようというわけである。
「移転プロジェクトは戦略的な投資の好例」と中村氏が話すとおり、関西における存在感の一層の向上を掲げるオカムラの経営戦略を支えるオフィスを目指した。だから場所も、眺望がすばらしい注目の最先端ビルにこだわった。「社員のモチベーション向上は最も重要だから」(中村氏)である。
さらに移転に際し、オフィスのレイアウト計画は、中堅をリーダーとする若手に担わせた。移転前のオフィスでの働き方を検証し、より競争力向上に直結するオフィスの具現化に取り組むためだ。全社員フリーアドレスによる協働のしにくさや、オープン過ぎるコラボレーションスペースの活用度の低さなどの反省を踏まえながら「本当に社員一人ひとりが働きやすいオフィスとは何か」に真剣に向き合ったのである。
オフィス中央には、部門横断プロジェクトのミーティングの場として、大きなコラボレーションスペースを設けた。少数でのコミュニケーションを可能とするスペースに加え、一人で集中して仕事を行うスペースも随所に配置。さまざまな社員とかかわる営業はフリーアドレスを導入しつつ、デザイナーや事務担当は一人で集中できる環境と、協働して仕事をする環境をレイアウトやパーテーションの工夫などによって実現した。
「社員のモチベーションは明らかに向上しており、お客様からの信頼も上がったという声が入ってきています。一人ひとりの個性を活かしながら、その持てる能力を最大限に発揮できる環境をつくるのは経営トップの仕事です。今後も検証を重ねながら、オフィス環境のバージョンアップを図っていきたいと考えています」(中村氏)。トップ主導型の戦略的オフィス投資の効果を示すのに、ここ大阪のオフィスは説得力のある場となることだろう。
いまオフィスに課せられている役目は、多様な人がコミュニケーション、コラボレーションを通じて互いに成長しながら、画期的なアイデアやイノベーションを生み出す場となることだ。それが業績向上に結び付く原動力となるのだから、やはりオフィス投資は経営者の責務と言える。オフィスに投資を行うことで、社員の会社に対する帰属意識も高まるし、いい人材を採用することができるようになったという声も聞く。まさに経営戦略の一環であり、経営者の意志を示す絶好の場なのである。
日本のオフィス文化をつくり続けてきたオカムラは、顧客企業のさらなる成長に向けて、これからも新しい提案を続けていく。
■ここは世界一のオフィス。これから私たちが、もっと進化させていく