恨み・怒りは「持つだけ無駄」と言える納得の理由 不満をぶちまけるのは「一種の快感」だが…
衣食住には困らず、娯楽もあふれている現代の世の中で、なぜかいつも心が満たされない。まじめに頑張っているのに、なぜかうまくいかない。なんだか疲れるばかりで、前に進めない……。
そう感じているなら、まずは、自分自身を解放するために“ネガティブな感情”を手放すべきだというのは、アップル、グーグルほか名だたる企業のコンサルティングを行うグレッグ・マキューン氏です。「不足思考」から「充足思考」へと変えるべき理由や心のあり方についてお伝えします。
※本稿は『エフォートレス思考』より一部抜粋・再編集してお届けします。
フランス文学でも描写される「不足思考」
フランスの作家モーパッサンの作品に「紐(ひも)」という短編がある。
まじめな実業家がひょんなことから、無実の罪を着せられる。道ばたで紐を拾っただけなのに、誰かの財布を盗んだという噂が立ってしまったのだ。なんとか無実を証明しようとしたが、噂はとどまるところを知らず、誰もが彼を泥棒だと信じ込んでしまう。町中の人が彼から距離を置き、村八分の状態になる。
放っておけば、そのうちみんな忘れたかもしれない。噂が立つのは仕方のないことだし、気にせずいつもどおりに過ごしていれば、人々も普通に接してくれるようになったかもしれない。
だが、彼はあきらめられなかった。意地でも真実を認めさせようと奮闘し、誰にも聞き入れられないせいで心身を病んでしまった。体はどんどん衰弱するが、彼はどうしても町の人が許せない。
死ぬ直前まで「紐だ。ただの紐だ」と、うわ言のようにつぶやいていた。
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