ICTで産業に活力を 国内最大級ソフトウェア企業の挑戦
健康・予防医療、少子高齢化をはじめとする国内の諸問題にもICTを武器に立ち向かおうとしている。加速度センサーにより居室のドアや冷蔵庫の開け閉めを感知し、独居高齢者を見守るサービスが実用化されている他、メンタルヘルスの不調の予防、早期発見・早期対処に向けて、セルフケアと職場改善の両面からアプローチして好評を得ている。今後は、蓄積したセルフチェックデータを分析し、メンタル不調者の予兆発見にまで取り組む予定だ。地方を活性化させる観光分野でも、リピーターを増やす施策にとりかかったところだ。
統合で不可能が可能に
変革し続けることが重要
どこにどういう技術を持つSEがいるのか。誰が何を得意としているのか。そうしたことを点検し、最適な人員を最適なプロジェクトや部門に配置するとともに、ある地域で展開していたソリューションを、別の地域の顧客にも紹介するといった動きが徐々に顕在化してきている。毛利社長はそれを「ジグソーパズルのピースがピタッとはまるようなイメージ」だと表現する。これはまさに統合によるシナジーであろう。
「OS、ミドルウェアから、ネットワーク、さらにセンサーやビッグデータまで、1社で、これほど多様で幅広いアセットを持つソフト企業は、他にあるでしょうか。7社の経験と知見を集め、融合すれば、これまでできなかったようなプロジェクトも可能になってきます」
そう語る毛利社長は、さらに「アライアンス構築力」「技術の融合力」「規模とスピードを兼ね備えた現場力」という3つの強みを構築していくとしている。今年度はそのための準備期間という位置づけで、組織や仕組みを変革、再構築していくが、それと同時に、社員一人ひとりが自らを変革していかなければならない、と毛利社長は強調する。
「今後のソフトウェアの仕事においては、課題解決能力だけでなく、問題発見能力がより重要になってきます。顕在化していない問題を見つけること、その力を養うためには、自分自身で常に考え続けることが必要です。変わらなければと強く思い、視線を上げる、下げる、幅を広げる。そういうことをし続けると、今までと同じものを見ていても、見え方が変わってきます。まず自分たちが変わらなければ、現代の激しく変化していく社会のニーズに応えられるはずがありません。私自身、自らを変革する強い意志で、この会社をリードしていく覚悟です」
7つのピースが集まってピタリとはまったとき、新しい会社が形作られた。しかし、その形は社会のニーズの変化とともに、これからも常に変わり続けていく。