ICTで産業に活力を 国内最大級ソフトウェア企業の挑戦
NECグループの主要ソフトウェア企業7社が統合して発足したNECソリューションイノベータだ。今年度は変革へ向けた“助走”期間と位置づけて走り始めたばかりだが、すでにそのスピードは加速し始めている。
ソリューションを共有し
人材と資産を有効活用へ
昨年、NECソリューションイノベータ設立のニュースが伝わると、ソフトウェア業界に衝撃が走った。競合他社の多くを驚かせたのは、その規模の大きさだけではない。各地域に根を下ろしながら、OSからアプリケーション、組み込み型ソフトウェア、さらにシステム開発、ITコンサルティングに至るまで多様なITサービス事業を展開してきた7社が統合されるとなると、技術力やインテグレーション力などで、とてつもないパワーを持つソフトウェア企業が登場することになるからだ。
今回統合したのは、NECソフト、NECシステムテクノロジー、中部日本電気ソフトウェア、九州日本電気ソフトウェア、NECソフトウェア東北、北陸日本電気ソフトウェア、北海道日本電気ソフトウェアという7社。それぞれがNECグループのソフトウェア事業を担ってきた、まさに主力部隊である。
なぜ7社は統合したのか。その意図について新会社を率いる毛利隆重社長は次のように語る。
「NECグループの方向性は社会価値を創造する社会ソリューション事業にシフトしています。当社はその社会ソリューション事業を支える中核ITソフトウェア企業という位置づけです。
いま、日本が抱える問題の多くは地域社会にこそあります。全国各地にある拠点がマーケットセンサーとなってニーズを集め、一緒にソリューションを開発できれば、同じ問題を抱える別の地域にも展開できます。場合によっては海を越え、海外でもそのソリューションが役立つかもしれません。しかし7社が個別に動いていたのでは、そういう横展開はしにくい。人材を含む資産の有効活用という面でも、7社が強く連携したほうがいい。そういう積極的な意味合いで統合に踏み切ったのです」
アワビもミカンもICTが育てる
第一次産業を積極支援
同社は、NECの社会ソリューション事業の中核会社として、サイバーセキュリティや衛星システム、企業におけるビッグデータ活用など、様々なプロジェクトにおいてNECと分担し、先端技術を駆使したシステム開発を担っていく。今後はさらに、同社が事業化を主導する独自事業を積極的に推進するつもりだ。