オムニチャネル時代の物流センター戦略
―アパレル業界編―

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【特別講演】
「丸井グループの
『店舗・WEB・カード、三位一体』の物流戦略」

㈱丸井グループ取締役 ㈱ムービング取締役社長
若島隆氏

丸井グループのロジスティクスを担うムービング社長の若島隆氏は、店舗、WEB、カードの「三位一体型」で取り組む同グループのオムニチャネル・リテイリング戦略を説明。「データを見ても、店舗とWEB通販併用のお客様は、店舗だけのお客様に比べて利用の金額・回数ともに多くなる」と強調。WEB未利用の顧客に店舗でWEB通販招待クーポンを発行するなど、WEBへの送客による「お得意様化」に注力している。

さらに、「試着ができない」、「実物確認できない」といったWEB通販の不満に応えるため、WEBで予約後に実店舗で試着するサービスを展開。また、WEBで商品を見つけて実店舗で確認・購入する顧客が多いことから、「どの店に在庫があるか」についてもWEB上で表示している。

ムービングでは、物流、撮影や採寸などの付帯業務、在庫管理、コールセンターなどを一貫運営して、物流とEC業務の進行をリンクさせ、時間やコストのムダを減らす「トータルフルフィルメント」を実施。日々の変動幅が大きいアパレル物流を生産工学的に分析して効率化を推進し、内製化することで、外部委託時に比べ、入荷からサイトアップまでのリードタイムを4~6日短縮した。

ムービングでは、この丸井グループの物流インフラを使った一括在庫受託などのサービスを、外部企業にも提供。宅配便では難しかった、開店前に正確にショップ納品するサービスを、自社車両で行ったり、グループPB商品ルートを使った低コスト・高速の海外一貫物流も手掛ける。若島氏は「WEB通販センター業務を円滑に遂行する難易度は非常に高く、われわれも苦労してきました。この経験を生かし、オムニチャネル構築に向けたお手伝いをさせていただきたい」とアピールした。

【事例講演1】
「オムニチャネル・リテイリング戦略の
ロジスティクスとIT」

フレームワークス代表取締役社長
秋葉淳一氏

ロジスティクスをITで支援するフレームワークス社長の秋葉淳一氏は「オムニチャネル・リテイリングでは、商品がお客様の手元に届くまでのサービスすべてが商品価値になります」と指摘。顧客の欲求に応えて生み出す価値について語った。

その時々の顧客の欲求に応えるサービスを提供するためには、顧客情報とともに、リアルタイムに更新される在庫など、「タイムリーなモノ情報の一元管理」の仕組みの構築が前提だ。その上で、顧客の要望を高速処理して、オンデマンドで実行する。こうする目的の一つが「購入意欲を高める」こと。通販では試着できないという不満に対して、コールセンターのオペレーターが代わりに試着して、顧客に感想を伝えるサービスで成功を収めている例もある。もう一つの狙いは、「利便性を高める」こと。商品受け取りの場所やタイミングを顧客の要望に合わせるためには、ロジスティクスがカギを握る。

洋服の青山は、バックヤードのない店舗を首都圏に展開。代わりに、店別の仕分けなどをすべて自動化した物流センターを24時間稼働させて、1日2回の配送を実施。この物流網により、商品をネットで選んで店で試着する「試着予約サービス」を実現して、差別化につなげている。またヨドバシ・ドット・コムは、在庫のリアルタイム更新により、「どの店で何分以内に商品を用意できるか」、「家にいつ届けられるか」を明示し、顧客から高い評価を得ている。

さらに物流サービスの新たな取り組みとして、配送車両のGPS位置情報に渋滞状況や統計データを加味して、到着時刻を高精度に予測し、顧客に連絡するシステムなどを紹介した秋葉氏は、「商品のお届けで高い顧客満足を獲得することで、ロジスティクスは小売りのブランド価値の向上に貢献できます」と述べた。

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