オムニチャネル時代の物流センター戦略
―アパレル業界編―

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店舗、コールセンター、WEB、スマートフォンなど、多様なチャネルをまたいで、統合的な購買体験を提供する「オムニチャネル・リテイリング」。この新しい小売り・物流のトレンドに、アパレル業界としてどう対応すべきかを考える「オムニチャネル時代の物流センター戦略-アパレル業界編-」が7月15日、東京・中央区で開かれた。
共催:野村総合研究所・東洋経済新報社、協賛:野村不動産
野村不動産 都市開発本部 商業施設事業部・物流施設事業部担当 執行役員
黒川洋氏

協賛社として開会のあいさつをした、野村不動産の都市開発本部 商業施設事業部・物流施設事業部担当執行役員、黒川洋氏は「IT、Eコマースによって販売が劇的に変化し、物流も高度化を迫られています。物流・配送にマネジメントの概念が導入され、物流のとらえ方にも変化が起きています」と述べ、新時代の物流に貢献していく決意を表明した。

【基調講演】
「オムニチャネル・リテイリング戦略と
物流機能高度化への要請」

野村総合研究所 主席研究員
藤野直明氏

野村総研の藤野直明氏は「オムニチャネル・リテイリングは、単なるモバイル対応やO2O(オンラインからオフライン・実店舗への誘客)のための広告手段ではありません」と強調。店頭で購入していた顧客がEC(イーコマース)に移っただけ、といった後ろ向きの議論に終止符を打ち、本格的な対応を取る重要性を訴えた。

オムニチャネル・リテイリングの顧客は、店、EC、カタログ通販など、あらゆるチャネルから統一的な商品・販促情報を入手し、購買体験をすることで、購買確率と購買額が増す。そのため小売り側は、多様なチャネル横断で商品・顧客・販促の管理を実施することにより、個々の顧客に「リアルタイムでパーソナライズされた」サービスを提供し、高い顧客満足を得て、ブランド力を高めることが求められる。藤野氏は「店舗から(小売)ブランドへのパラダイムシフトの実現は、社を挙げて取り組むべき経営戦略そのものです」と話した。

物流面で取り組むべき課題は二つある。一つは、リアルタイムでオーダー処理するための「在庫情報の統合管理」だ。在庫を実店舗、WEBチャネル(モール)、通販で相互に融通できる「バーチャルな在庫」の仕組みを構築する。二つ目は、「統合型物流拠点の整備」。複数のセンター間で商品をやりとりした場合に発生する検品・格納などの追加コストをなくし、付帯業務も効率化する。その実現には、サード・パーティ・ロジスティクス(3PL)業者への全面委託のほか、物流不動産や物流ITなど、個々のサービスを組み合わせる方法もある。藤野氏は「自社だけで全て投資を行うには時間がかかり、投資額も大きく、アパレルのビジネスモデルには適さない」と述べ、外部パートナーを効果的に活用すべきという考えを示した。

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