ブランド品リユース事業で世界一を目指す大黒屋 質屋業をルーツとする強みで新事業開始・拡大

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可能性ある中国市場で大黒屋が成功できる理由

大黒屋の「5カ年事業計画」では、「中国現地事業」を3つの新規事業の大きな柱の1つとして示している。グローバル化が同社の成長をさらに加速させることになりそうだ。

「とくに中国は、コロナ禍を経ていち早く経済を再生させています。今後、25年には世界のブランド品販売市場の50%強を中華系の消費者が占め、消費地は25%が中国になるといわれています。越境ECを含め、中国市場での強化を本格的に開始し始めています」と小川氏は語る。

大黒屋ホールディングスはすでに、中国ネット通販大手のアリババグループが運営する高級品販売のプラットフォーム「魅力恵」で同社グループ商品の掲載、販売を開始している。21年3月にはさらに、ブランド品買い取り販売を行う100%子会社の上海黛库商业有限公司を上海市に設立し、アリババグループの越境ECポータルサイト「Kaola(考拉海購)」での買い取り販売を開始している。オンライン上での買い取り販売のライブなど、工夫を凝らしたマーケティングも行っているという。

さまざまな分野で、今後中国が大きな市場に成長する可能性を否定する人は少ないだろう。だが、進出しても成功はなかなか簡単ではないといわれる中で、なぜ同社は現地に100%子会社を設立するといったことを実現できるのか。

その背景には、小川氏の経歴もあるだろう。小川氏は大学卒業後、総合商社のトーメン(現・豊田通商)に入社。その後、米コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得し、ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニーの米国本社に入社した。そこではLBO(レバレッジド・バイアウト)ファイナンスを中心に、企業のM&A(合併・買収)や投資事業に携わってきた。1994年には、華僑10大財閥の1つ、ファー・イースト・コンソーシアム・インターナショナル・リミテッド代表に就く。97年に大黒屋ホールディングス代表取締役社長に就任したが、華僑との人脈やネットワークは早くから築かれていたのだ。

「ビジネスを動かすのは最終的には『人』です。当社グループの成長戦略に共感し力を貸してくれる人のネットワークが中国にあります。これは北米でも同様です。中国の次は北米市場への進出も検討しています」

中国での「Daikokuya」のブランド力は高い。インバウンドでは大黒屋でのショッピングが人気メニューになっているという。今後、海外の各地で、大黒屋の認知が進みそうだ。

大黒屋の「5カ年事業計画」の表紙には「ブランド品リユース事業で世界ナンバー1へ。」というフレーズが刻まれている。その言葉どおり、日本発のビジネスの今後の成長に大いに期待したい。

ただ商材を安く買うのではなく、消費者の需要に合わせてプライシングするからこそ、売り手側の「できるだけ高く売りたい」と買い手側の「できるだけ安く買いたい」を実現できる