ブランド品リユース事業で世界一を目指す大黒屋 質屋業をルーツとする強みで新事業開始・拡大

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オンラインオークションやシェアリングサービスも開始

大黒屋には、真贋を見抜く眼力を備えたスタッフがそろうなど、一朝一夕では築くことができない優位性がある。しかし、それゆえに大黒屋のビジネスが属人的なものと考えるのは早計だ。実は同社は早くからDX(デジタルトランスフォーメーション)化に成功した企業だ。

同社では、DXの取り組みも積極的に進めている。小川氏は次のように紹介する。「これまではCRM(顧客情報管理)をそれぞれの店舗で実施してきましたが、最近、管理システムをクラウド上のグローバル対応小売り向けオムニ(複数)チャネル一元化システムに刷新しました。このほか、AI(人工知能)を使ったブランド品の値付け・鑑定も始めています」。AIの鑑定精度は95%以上に達しているというから驚く。最終チェックは人間が行うというが、業務効率を大幅に向上できるだろう。

「AIはデータの量が増えるほど、正確性が増します。蓄積データを新たなデータで補正し、さらに真贋鑑定のできる人材による補正を加え、強化学習することで、アルゴリズムの精度はますます高まるのです。年間50万件のデータが刻々と蓄積される当社は、ビッグデータの活用という点でも、業界の先を行けると自負しています」

これらの知見を生かした新しいサービスも始まっている。20年11月には、オンライン買い取り「UTTA!(ウッタ)」と呼ばれるサービスを開始した。サイト上で売りたい品物の情報と写真を送るだけで、24時間以内に買い取り金額の相場がわかるオンライン査定が可能だという。見積金額に納得したら、品物を発送すれば本査定と買い取りの申し込みが完了、ユーザーが指定した口座に現金が振り込まれる。コロナ禍でなかなか外出できないという人もいるだろうが、「UTTA!」なら、自宅にいながら、完全オンラインで売却できるわけだ。

昨年11月にサービスを開始した「UTTA!(ウッタ)」のトップページ。コロナ禍で利用者が増えている

「これまで培ってきたノウハウを活用して、さらに新たな事業も開始します。『BtoBオンラインオークション事業』、『高級バッグ・時計などのシェアリングサービス事業』などの新事業の開始も決定しました」と小川氏は話す。

「BtoBオンラインオークション事業」は、ネット環境で入札ができるものだという。大黒屋は従来から国内業者間転売市場において売り買いのリーディングカンパニーとして業界を牽引してきた。同社が長年培ってきた中古ブランド品業界における業者間のネットワーク、マーケットメーカーとして売り買いに貢献できるビジネス基盤が同事業においても生かされるだろう。

ブランド中古品が並べられた店内。昨年から実店舗の買い取りだけでなく、オンライン買い取りにも注力している

「高級バッグ・時計などのシェアリングサービス事業」は、高級ブランドのバッグや時計などをサブスクリプション(定額制)で利用できるサービスだ。昨今では、「所有から利用へ」という言葉に代表されるように、シェアリングビジネスが拡大してきている。大黒屋なら豊富な在庫が有効活用できるだけでなく、質屋業のノウハウによる適正な利用料の設定が可能で、安価で高級バッグ・時計などをシェアリングするという新たな選択肢を顧客に提示することが可能になる。

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シェアリング市場は数年で1兆円を超えると予想されている(矢野経済研究所調べ)

このように、大黒屋は真贋鑑定のできる人材に加えて、DXを駆使し、AIを組み込んだ新システムを構築したことで、業界を牽引する企業への変貌を目指していく。

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