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ブランド品リユース事業で世界一を目指す大黒屋 質屋業をルーツとする強みで新事業開始・拡大

  • AD:大黒屋ホールディングス/制作:東洋経済ブランドスタジオ
大黒屋ホールディングスの快進撃が始まりそうだ。傘下の大黒屋を通じて、中古ブランド品(バッグ、時計、宝飾品など)の買い取りと販売、および質屋業を展開しているが、すでに「ポスト・コロナ」を見越した成長戦略を描き、大幅な売り上げ、利益の拡大を目指している。2021年6月に発表した大黒屋の「5カ年事業計画」では、「中国現地事業」「オンラインオークション事業」「シェアリング事業」などの新規事業を開始するとしている。計画には「ブランド品リユース事業で世界ナンバー1へ。」というビジョンも掲げられている。実現に向けた手応えを、大黒屋ホールディングスの小川浩平社長に聞いた。

質屋業をルーツとする大黒屋ならではの強み「高く買って安く売る」

わが国の経済は今、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い大きな影響を受けている。業績悪化により、事業を休廃業したり倒産したりする企業も目立つ。

大黒屋ホールディングス
代表取締役社長
小川 浩平

それに対して、大黒屋ホールディングス 代表取締役社長の小川浩平氏は傘下の大黒屋において「当社も、インバウンド需要の低迷や、緊急事態宣言の発出などによる外出自粛、休業要請などによって経済活動が制限されたのは事実です。足元では減収、減益となりました。しかし、当社は質屋業も展開しています。コロナ禍においてお客様の質屋業に対する需要は高く、事業全体として売上高や利益への影響を抑えることができました」と語る。同業大手では参入が難しい質屋業という庶民金融を提供していることにより、コロナ禍にあっても安定的な収益を確保できているのだ。

大黒屋ホールディングスの中核企業である大黒屋は、バッグ、時計、宝飾品などのブランド中古品の買い取り販売業および質屋業を展開する。現在、関東から九州までのエリアに24店舗を展開している。古物売買店・質店を全国規模で展開している例は少ない。

大黒屋の創業は1947年で、70有余年の歴史を誇る老舗だ。ただし、最近では、リサイクルショップ、ネットオークション、フリマアプリなどを活用した新興企業が成長し、台頭してきている。

「多くの企業がリユース市場に参入し活性化しているのは喜ばしいことです。しかし、他社のブランド品事業の場合、売り手側はできるだけ高く売りたい、買い手側はできるだけ安く買いたいと、利益相反になるため、価格が不透明になりがちです。それに対して当社は、高く買って安く売ることで商品在庫の回転率を高めることにより粗利を高めることを目指しています。例えばブランド品のバッグであれば、在庫回転日数30日を維持しています。質屋業をルーツにしているからこそ、商材の価値を見極め、適正な値付けをするノウハウとスキルがあります。その結果、高く買って安く売ることが可能になるのです」

「高く買って安く売る」という特徴的なモデルは、真贋を見抜く眼力を備えたスタッフによる適正な値付けが支えている

全国に多くの実店舗を有していることで、強い販売力を維持しているのも大きな特長だ。質流れ品も含め、仕入れでも顧客に利便性を提供できる。これらを背景に、同社では年間20万件以上の新規・既存の買い取り顧客および質顧客の取引があるが、ブランド品を多く所有している富裕層顧客のリピーターも多いという。

国内では高齢化が進むが、小川氏は「人生100年時代ともいわれるようになっています。長生きできることはうれしいことですが、生活のための資金も必要です。お子さんなどのご家族にも、相続や介護などへの備えのためにも、ブランド品を換金するといったニーズが出てくるでしょう。そのようなときに、大黒屋であればお持ちの動産を高く買い取れる可能性があります。そういった点で、国内でも、当社のビジネス拡大の余地はまだあると考えています。また、そのために、新たに買い取り専門店も積極的に出店する計画です」。

「5カ年事業計画」では、大黒屋を中心に2022年に3店舗、以後年間10店ペースで出店するとしている。26年3月には全国約70店舗のネットワークに広がることになる。大黒屋グループにとって、大きな成長ドライバーになることは間違いない。

オンラインオークションやシェアリングサービスも開始

大黒屋には、真贋を見抜く眼力を備えたスタッフがそろうなど、一朝一夕では築くことができない優位性がある。しかし、それゆえに大黒屋のビジネスが属人的なものと考えるのは早計だ。実は同社は早くからDX(デジタルトランスフォーメーション)化に成功した企業だ。

同社では、DXの取り組みも積極的に進めている。小川氏は次のように紹介する。「これまではCRM(顧客情報管理)をそれぞれの店舗で実施してきましたが、最近、管理システムをクラウド上のグローバル対応小売り向けオムニ(複数)チャネル一元化システムに刷新しました。このほか、AI(人工知能)を使ったブランド品の値付け・鑑定も始めています」。AIの鑑定精度は95%以上に達しているというから驚く。最終チェックは人間が行うというが、業務効率を大幅に向上できるだろう。

「AIはデータの量が増えるほど、正確性が増します。蓄積データを新たなデータで補正し、さらに真贋鑑定のできる人材による補正を加え、強化学習することで、アルゴリズムの精度はますます高まるのです。年間50万件のデータが刻々と蓄積される当社は、ビッグデータの活用という点でも、業界の先を行けると自負しています」

これらの知見を生かした新しいサービスも始まっている。20年11月には、オンライン買い取り「UTTA!(ウッタ)」と呼ばれるサービスを開始した。サイト上で売りたい品物の情報と写真を送るだけで、24時間以内に買い取り金額の相場がわかるオンライン査定が可能だという。見積金額に納得したら、品物を発送すれば本査定と買い取りの申し込みが完了、ユーザーが指定した口座に現金が振り込まれる。コロナ禍でなかなか外出できないという人もいるだろうが、「UTTA!」なら、自宅にいながら、完全オンラインで売却できるわけだ。

昨年11月にサービスを開始した「UTTA!(ウッタ)」のトップページ。コロナ禍で利用者が増えている

「これまで培ってきたノウハウを活用して、さらに新たな事業も開始します。『BtoBオンラインオークション事業』、『高級バッグ・時計などのシェアリングサービス事業』などの新事業の開始も決定しました」と小川氏は話す。

「BtoBオンラインオークション事業」は、ネット環境で入札ができるものだという。大黒屋は従来から国内業者間転売市場において売り買いのリーディングカンパニーとして業界を牽引してきた。同社が長年培ってきた中古ブランド品業界における業者間のネットワーク、マーケットメーカーとして売り買いに貢献できるビジネス基盤が同事業においても生かされるだろう。

ブランド中古品が並べられた店内。昨年から実店舗の買い取りだけでなく、オンライン買い取りにも注力している

「高級バッグ・時計などのシェアリングサービス事業」は、高級ブランドのバッグや時計などをサブスクリプション(定額制)で利用できるサービスだ。昨今では、「所有から利用へ」という言葉に代表されるように、シェアリングビジネスが拡大してきている。大黒屋なら豊富な在庫が有効活用できるだけでなく、質屋業のノウハウによる適正な利用料の設定が可能で、安価で高級バッグ・時計などをシェアリングするという新たな選択肢を顧客に提示することが可能になる。

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シェアリング市場は数年で1兆円を超えると予想されている(矢野経済研究所調べ)

このように、大黒屋は真贋鑑定のできる人材に加えて、DXを駆使し、AIを組み込んだ新システムを構築したことで、業界を牽引する企業への変貌を目指していく。

可能性ある中国市場で大黒屋が成功できる理由

大黒屋の「5カ年事業計画」では、「中国現地事業」を3つの新規事業の大きな柱の1つとして示している。グローバル化が同社の成長をさらに加速させることになりそうだ。

「とくに中国は、コロナ禍を経ていち早く経済を再生させています。今後、25年には世界のブランド品販売市場の50%強を中華系の消費者が占め、消費地は25%が中国になるといわれています。越境ECを含め、中国市場での強化を本格的に開始し始めています」と小川氏は語る。

大黒屋ホールディングスはすでに、中国ネット通販大手のアリババグループが運営する高級品販売のプラットフォーム「魅力恵」で同社グループ商品の掲載、販売を開始している。21年3月にはさらに、ブランド品買い取り販売を行う100%子会社の上海黛库商业有限公司を上海市に設立し、アリババグループの越境ECポータルサイト「Kaola(考拉海購)」での買い取り販売を開始している。オンライン上での買い取り販売のライブなど、工夫を凝らしたマーケティングも行っているという。

さまざまな分野で、今後中国が大きな市場に成長する可能性を否定する人は少ないだろう。だが、進出しても成功はなかなか簡単ではないといわれる中で、なぜ同社は現地に100%子会社を設立するといったことを実現できるのか。

その背景には、小川氏の経歴もあるだろう。小川氏は大学卒業後、総合商社のトーメン(現・豊田通商)に入社。その後、米コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得し、ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニーの米国本社に入社した。そこではLBO(レバレッジド・バイアウト)ファイナンスを中心に、企業のM&A(合併・買収)や投資事業に携わってきた。1994年には、華僑10大財閥の1つ、ファー・イースト・コンソーシアム・インターナショナル・リミテッド代表に就く。97年に大黒屋ホールディングス代表取締役社長に就任したが、華僑との人脈やネットワークは早くから築かれていたのだ。

「ビジネスを動かすのは最終的には『人』です。当社グループの成長戦略に共感し力を貸してくれる人のネットワークが中国にあります。これは北米でも同様です。中国の次は北米市場への進出も検討しています」

中国での「Daikokuya」のブランド力は高い。インバウンドでは大黒屋でのショッピングが人気メニューになっているという。今後、海外の各地で、大黒屋の認知が進みそうだ。

大黒屋の「5カ年事業計画」の表紙には「ブランド品リユース事業で世界ナンバー1へ。」というフレーズが刻まれている。その言葉どおり、日本発のビジネスの今後の成長に大いに期待したい。

ただ商材を安く買うのではなく、消費者の需要に合わせてプライシングするからこそ、売り手側の「できるだけ高く売りたい」と買い手側の「できるだけ安く買いたい」を実現できる