建築主に選ばれる、進化するシステム建築 一般工法に比べ、低コスト・短工期・高品質
一般工法と比較して工期・コストを約25%圧縮
「当社は元請けは行わず、地域に密着した会員会社を通して、サービスを提供しています。しかし最近では、当社のホームページをご覧になった建築主様から直接、『システム建築について知りたい』とご連絡をいただく機会が増えています」と、日鉄物産システム建築の生井敏夫社長は語る。
同社は2007年に旧住友金属工業(現・日本製鉄)から分離独立し、システム建築専業メーカー「住金システム建築」として設立された。その後19年に「日鉄物産システム建築」に社名変更し、現在に至っている。会社の設立は若いが、住友金属工業時代も含めれば、半世紀に近い歴史を持つ、システム建築の老舗メーカーだ。
今、システム建築が建築主の関心を集めている理由はどこにあるのか。「コロナ禍ではありますが、工場や倉庫の建設需要はむしろ高まっている感じがします。まず、巣ごもり需要の拡大もあって、新たな物流施設の建設が急がれています。また、既存の工場や倉庫についても、物流機能のさらなる効率化・ネットワーク化を狙う視点や、緊急事態時の事業継続計画(BCP)を見据えるといった観点から、製造・物流拠点を広域に分散化する動きも活発になってきています」(生井氏)。
その一方で、建設業界では、これらの建設に携わる職人不足が深刻化しているという。工期の長期化・建築コストの上昇も起こっているようだが、システム建築はこれらの課題をどのように解決することができるのか。
「システム建築は、建物の柱間の寸法や高さ寸法のピッチを規格化することにより、構成する部材を標準化し、あらかじめ工場で製作する比率を高め、現場での施工における手間や不均一性を減らしていく工法です。その結果、低コスト・短工期でありながら、高品質な建物の建築が可能となります。標準的な工場・倉庫であれば、システム建築の工事範囲で、一般工法と比較して、工期・コストとも、約25%を圧縮できます。これは、初期設備投資額の抑制と早期の設備稼働につながり、建築主様にとって大きなメリットになると考えています」という。多くの建築主が注目するのにも納得がいく。
同社の用途別構成は、工場・倉庫が約90%、残りの10%が事務所や商業施設などとなっている。そのほかにもスポーツ施設や医療・福祉施設などの実績もあり、2階建てまでの鉄骨造の建物であれば幅広く対応できるという。