アドバンスクリエイトの高収益の秘密に迫る 躍進する保険業界のイノベーター
「現場力」の根幹は教育。経営トップが直接指導
ここまで同社の「現場」に焦点を当ててきて改めて浮き彫りになったのは、濱田氏が率先する教育の力である。「教育こそ、企業が持続的に成長するための絶対的根幹である。社長の濱田はその信念の下、何よりも教育に力を注いでいます」と社長室次長兼採用研修課長の白原伸皞氏は代弁する。毎朝、営業担当者、エンジニア、コールセンター、支店長、部門長など職域別に行うミーティングも教育機会の1つだ。ミーティングでは、濱田氏自ら同社の使命やビジョン、そこにたどり着くための戦略を熱く説く。「経営トップである濱田が直接伝えるのは、一点の曇りなく明快に社員にビジョンや戦略を理解してもらうためです。それによって最前線の現場の社員は、適切な方向に持てる力を発揮することができます」と白原氏は言う。
濱田氏が重視するのは、決してテクニックやノウハウを身に付けることではない。その前提となる揺るぎない基盤を培うことだ。そのスタートとして、半年間にわたる新入社員研修を実施する。ここでも最初の3カ月間、毎日濱田氏による研修が行われる。「重視するのは、人間性を磨くこと。礼儀礼節を重んじることに始まり、凡事徹底や不易流行など、濱田の教えは仕事をするうえでの心得にとどまらず、人生をいかに生きるかに及びます」と白原氏は言う。こうした一見遠回りにも思える教育こそが、結果的に高い力量を備えた社員を最短距離で育てることにつながっている。
濱田氏の教育がなぜこれほどまでに社員に響くのか。それは濱田氏の教育に対する情熱が、すなわち社員を大切に思う気持ちの大きさでもあるからだ。「社員の『幸せ』の実現が当社の第一目的です。仕事はもちろん楽ではありませんが、『楽しい』と思ってほしい。仕事に対する高いモチベーションとポジティブな気持ちは100倍にも200倍にもできる。濱田はそう考えています」と白原氏は言う。その思いは、働く環境づくりにも反映されている。業界では珍しく、創業当初から完全固定給制を取るのもその1つだ。またIT部門では、エンジニアが最も力を発揮できる働き方を尊重するために、多様な雇用形態を用意する。正社員か否かの区別なく一人ひとりを大切にするから、多くのエンジニアが高い帰属意識を持ち、長期にわたって同社で働き続けている。
企業文化・精神を軸に社員の実力と意欲を育む教育が支える同社の躍進は、今後も止まりそうにない。