DX後進国・日本と世界の「致命的な差」 「変化」を阻むのは、日本企業の構造的問題

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ローカルな課題の解決を突破口にして世界へ

松尾 大企業と組んでよい化学変化を起こすには、スタートアップ自身の成長も欠かせません。その方法論は何か持っていますか。

田村 必ずしも最初から海外で戦わなくていいと考えています。技術に国境はありませんが、課題はそれぞれの国や地域独自のものです。日本は大きな課題がたくさんあって、課題がすでに解決されていることの多い米国よりずっと機会が多い。そこに勝機があるのかなと。

井﨑 確かに一般化されている課題だと、すでに世界に展開しているプラットフォーマーが有利です。日本にしかない課題で、日本の特別な価値をどう出していくのか。そこに日本の勝ち筋がありそうですね。

川上 ただ、課題が小さいと、「ある地方のこの課題が解決された」で終わるおそれがあります。ですから、この課題を解決することでほかも解決できるとか、課題の解決が再現性を持つことによって海外にも輸出できるというように、その後の切り出し方も大事です。とくにこれまでサービス産業は輸出が難しかったですが、AIやDXで再現可能性・再生産可能性が加わると、世界で新しいマーケットをつくれる可能性がある。どの舞台で課題を解決するかという話と、それをどうやってスケールさせるのかという話を、行き来しながら考えるべきでしょう。

――日本の産業界が抱える課題はどのようにすれば解決しうるのでしょうか。

松尾 スタートアップは数もスケールも拡大していく必要がありますので、私は大学からそのための人材を輩出していきたいと思っています。一方で、大企業側はいろんなプロジェクトを立て、前に進んでいくべきです。とくに経営者の方は、自社や産業領域を主体的に変えていく意識を持つことが大事です。そうやって大企業とスタートアップが進化してお互いに刺激を受け合うと、これまで見てきたような課題も解決できるかもしれません。

井﨑 エヌビディアではInception ProgramというAIスタートアップ企業支援のプログラムがあり、世界では7500社、国内も200社を超えるスタートアップネットワークを持っています。技術的、マーケティング的支援だけでなく、さまざまな企業とのビジネスマッチングも行っていますので、大企業側が抱える課題の解決の糸口になるかもしれません。

――どうすればスタートアップと大企業がより効果的に連携できるのか、日本企業が再び世界と戦えるグローバル競争力を得られるのかについて、引き続き議論をしていきたいと思います。

お知らせ
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6月16日(水)〜6月17日(木)に
国内のAIやディープラーニングを活用した先進事例や最新のソリューションをお届けするオンラインイベントを開催します