西武「レッドアロークラシック」が果たした役割 4月に定期運行終了、今年で完全引退なのか

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ところで、レッドアロークラシックの色は、初代のレッドアローの色を模したものだ。アイボリーを地として赤のラインを窓下などに添えたもので、この赤い色がレッドアローの愛称の由来となっている。レッドアローが登場したときのパンフレットを見ると、デザインについては「秩父の山々に調和したもの」とされている。

「ニューレッドアロー」本来の塗装。「レッドアロークラシック」の引退後も、この塗装の車両は新宿線の特急「小江戸」で見られる(筆者撮影)

一方、ニューレッドアローでは、車体の上から下に向かってグレーのグラデーションで塗装され、窓の下に赤を加えている。窓の周りは別のグレー系の色に塗られているので、グレーだけで4色あり、赤を加えて5色ある。こちらも当時の資料を見ると、「沿線環境に調和」をうたったカラープランとなっているが、現在の西武の特急の需要が主に着席通勤の需要となっているように、都心へのアクセス特急に寄ったデザインとなっているようだ。

初代と比べ違和感のない配色

レッドアロークラシックは、初代のレッドアローにもあった銀の装飾を前面に加えている。昔の色ながら違和感のない仕上がりである。ニューレッドアローをすべてレッドアロークラシックに塗り替えて塗装の手間を省いてはどうかとも思ったが、あくまでも特別な車両として10年弱の運行を終える。

「レッドアロークラシック」は定期運行を終了したが、臨時特急の運転が行われた(筆者撮影)

レッドアロークラシックの引退を記念して車体に装飾(ロゴ)が施されたほか、定期運行終了後は西武球場前の駅がある狭山線をはじめ、池袋線や新宿線でもレッドアロークラシックを使用した臨時特急の運行が行われる。

東日本大震災の直後に登場してコロナ禍で引退するという流れは、この車両が背負った宿命を感じさせるが、大勢の人々に親しみを持って迎えられたという点ではその役目を十分にはたしたのではないだろうか。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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