「アドバンスクリエイト」新時代のOMO戦略 インシュアテックのフロントランナーが挑む

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業界の常識を覆す「顧客視点」で先行するOMO戦略

子供を気にせずじっくりと相談できるキッズスペースを備えた、あべのハルカスコンサルティングプラザ

オンラインとオフラインの垣根を越えて顧客の購買意欲を創出するOMOの肝は、「顧客視点」にある。「その点で当社には、20年も前からOMOをコンセプトに事業を行ってきたアドバンテージがあります」と語る櫛引氏。いまだに訪問型販売が主流の業界にあって、同社は90年代にポスティングによる通信販売を推進した。「保険を『売りに行く』のではなく、お客様に『買いに来ていただく』という『お客様視点』のビジネスを貫いてきました」と明かす。

ポスティングから資料請求に至る確率は約0.1%。だがこの0.1%は極めて有望な見込み客だ。同社は04年以降、通信販売と並行して保険ショップを開設し、対面販売も実施。保険を必要とするお客様に確実にアプローチすることで、成約率を爆発的に向上させた。顧客視点で非対面と対面を連携させる手法は、OMOそのものだ。「Webサイト『保険市場』を軸にインターネット通販を本格稼働して以降も、コンセプトは変わりません。『OMO』という言葉が登場したとき、『ようやく濱田の戦略に世界が追いついてきた』という手応えを感じました」と櫛引氏は語る。

高級感あふれる内装で迎える相談スペース(あべのハルカスコンサルティングプラザ)

世界では先進技術によって既存の保険業務を変革するインシュアテックが大きな潮流になりつつあるが、にわかにITを導入しても収益化するのは容易ではないと櫛引氏は言う。同社は早い段階から顧客管理システムを構築し、データやネットを活用したマーケティングを積極的に行ってきた。「ITを活用して収益を上げるモデルを確立しているからOMOを推進できる」と自信を見せる。

シックな雰囲気のブースでプライバシーも保てる(あべのハルカスコンサルティングプラザ)

もう一つ同社の強みは、マーケティングから販売、システム開発までが連携し、全社で顧客に適したサービスを提供する仕組みを構築していることだ。自社開発の顧客管理システム「御用聞き」を核に情報を全社で共有することで、販売員の力量に左右される従来の保険販売のデメリットを克服。事業の川上から川下までのシームレスな連携が、同社のOMO推進の要となっている。

マーケティングと営業が直結。圧倒的なスピードが強み

アドバンスクリエイト
理事
OMO営業本部副本部長 兼 市場調査部長
鳥居 俊文

「事業の川上では、お客様に起点を置いたインバウンドマーケティングに特化。Webマーケティングの手法も自社開発しています。これまでに蓄積してきた400万人を超えるお客様のデータを活用し、お客様の行動を先回りして広告配信を最適化するデータドリブンマーケティングに取り組んでいます」。同社のマーケティング戦略を語るのは、理事でOMO営業本部副本部長の鳥居 俊文氏だ。そのインターフェースとして新たに活用しているのが、保険証券管理アプリ「folder」。保険証券の管理や分析機能のほか、アプリを通じてオンライン面談予約も行える。「『思い立ったが吉日』と言いますが、お客様が保険を必要とされたとき、目の前にいる。そんな存在になりたい」と語る。

アドバンスクリエイト
取締役 OMO営業本部副本部長 兼
オフラインマーケティング推進部長
橋本 孔治

さらに「顧客動向をスピーディーに営業につなげる。それが他社にはまねできない当社の強みです」と、取締役の橋本 孔治氏。マーケティング部門はコールセンターに直結。取得した情報を基に資料送付やアポイントの案内を行うなど、最短で顧客へのアプローチに生かす体制を整えている。

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