「働き方」「企業経営」の常識を変えるBPO 「人6割、業務設計3割、デジタル1割」の法則
人とデジタルの最適な組み合わせで業務を再設計
BPOの品質には、業務設計力の果たす役割も大きい。物流倉庫や大規模コールセンターなどの労働集約型の業務はマニュアル化が容易だ。一方、パーソルテンプスタッフが得意とする事務領域は、業務が属人的で複雑。そこをいかに整理してリデザインするかが腕の見せどころだという。
「業務設計を行うコンサルタントには、経験者やコンサルティングファーム出身者など、目に見えないものを可視化することに長けている人材を採用しています。現在、子会社も含めて60名以上のコンサルタントがいますが、ここ2~3年で100人規模に強化する予定です。専門人材を活用していくことで、業務の理解を深め、さらなる品質改善を進めるためには、例えば業務設計が2割、ITツールが4割など、業務の状況に合わせて体制を変化させていくことも重要です」
業務品質を左右する最後の要素が、デジタルツールだ。パーソルテンプスタッフではAI–OCRやRPA、アバターの技術を積極的に取り込み、効率的なオペレーションを実現している。労働集約型業務と違ってパソコンのデスクトップ上で行うような事務領域は、多様かつボリュームが少ないため、ロボット化しても採算を取りにくいが、同社はRPA機能を必要な工程だけサブスクリプション型で提供する「Robot+(ロボプラ)」を開発。低コストで自動化できる環境を整えた。すでに200件以上の問い合わせが来ており、好調な出足だ。
![](/mwimgs/0/4/1080/img_04c661e2e32ae1df200a6994a9da5564105466.jpg)
※「Robot+」導入により、請求書処理業務1件当たり約8分を約2分に短縮と想定
もちろんすべてをデジタル化できるほど事務領域はシンプルではない。パーソルテンプスタッフが思い描くのは、人とデジタルが協働する新しいBPOの世界観だ。
「入り口は人が担当して、顧客接点はアバターのようなバーチャルワーカーが支援し、ある工程はデジタルワーカーのロボットが処理。ハンコを押すなどの物理的作業はメカニカルワーカーに任せ、最後にまた人が受け止めるといった流れができたら面白いですよね。リアルワーカーである人が、業務をクラウド上に乗せていつでもどこでも処理できる“見えないワーカー”になってもいい。どのような組み合わせのときに人の力が生きて、お客様にも低コストで高品質のBPOサービスを提供できるのか。引き続き探求していきます」
![](/mwimgs/5/9/1080/img_5959cf84b7edeab9cb2d8cdb1883d769133823.jpg)
さらに高倉氏は、BPO事業の展望についてこう語ってくれた。
「現在、企業がミドルバックの業務を外部に依頼するときは、総務はここ、給与計算はここ、システム構築はまた別の会社というように、バラバラに発注しています。しかし、それではコストがかさみ、管理も煩雑になる。パーソルテンプスタッフは、ミドルバック業務をパッケージで受託して、お客様にフロント業務やR&Dなど自社の競争力の源泉になる領域に集中していただく世界をつくりたいと考えています」
パーソルテンプスタッフは個人の「はたらく」に焦点を当て、アップデートしてきた。今後は、新たな形のBPOサービスを通じて、「企業経営」の常識を塗り替えてくれそうだ。