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「働き方」「企業経営」の常識を変えるBPO 「人6割、業務設計3割、デジタル1割」の法則

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  • パーソルテンプスタッフ 制作:東洋経済ブランドスタジオ
2020年はコロナ禍で多くの企業がBCP(事業継続計画)対応に追われて、オペレーションの見直しを余儀なくされた。一方、自治体では特別定額給付金などの業務が大量に発生し、その対応で大わらわだった。企業でも自治体でもミドルバック業務への対応が課題になった1年だったが、それを陰から支えたのがパーソルテンプスタッフのBPO事業だ。なぜ同社は多くの企業や自治体に頼りにされるのか、その理由を探った。

リモートのBPOサービスを迅速に構築

コロナ禍による緊急事態宣言下にあった2020年のゴールデンウィーク。パーソルテンプスタッフのBPO事業部門には、全国の自治体からの問い合わせが殺到していた。BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシング、つまり企業活動に必要な各種オペレーションを外部委託すること。

パーソルテンプスタッフ株式会社
取締役執行役員
高倉敏之

4月の閣議決定で自治体は特別定額給付金の給付事務を急きょ担うことになったが、職員数には限りがある。急に必要になったリソースを確保するため、信頼できるBPOサービスを探していたのだ。パーソルテンプスタッフ取締役執行役員の高倉敏之氏は、当時をこう振り返る。

「マスコミが自治体ごとの給付進捗状況を報道したこともあって、自治体ではスピーディーに進めようと『とにかく早く立ち上げて1日でも早く住民の方々へ給付できるようにしたい』というニーズが強かった。BPOはまず業務コンサルティングを行い、オペレーションを設計することから入ります。そのため立ち上げにそれなりの時間がかかりますが、今回は給付金という性格上、一刻も早く確実な運用体制の立ち上げが必要でした。私たちにはすでに多くの自治体で住民からのさまざまな手続きを処理する行政事務を受託しているため、豊富なノウハウや経験があります。その強みを生かして、500人ほどの規模の案件を10日で立ち上げたケースもありました」

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※パーセンテージは、売上構成比
※データは2020/9実績

急ぎの対応が必要になるのは自治体だけではない。パーソルテンプスタッフBPO事業部門の取引先には民間企業も数多くある。今回のコロナ禍でBCP強化のために新たにBPOの導入を始めた企業も多かった。高倉氏は、IT大手企業のプロジェクトについて次のように明かしてくれた。

「この企業は、コロナ禍で原則的にリモートワークに切り替えることになりました。しかしリモートでは細かな指示を出すことが難しいとの判断から、営業事務の仕事を丸ごと切り出して、リモートのマネジメントまでBPOで依頼したいとの要請がありました」

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※パーセンテージは、売上構成比
※データは2020/9実績

注目すべきは、BPOの業務で就業するスタッフもリモートで働く体制を整えたこと。一般的にBPOは、顧客先に常駐して業務を委託するオンサイト型か、BPO事業者が自前でオペレーションセンターなどを設置して業務を行うホールアウト型の2つに分けられる。結果として顧客はそのどちらでもない在宅のホールアウト型を望んだ。そこで通常の3倍の業務コンサルやデジタルコンサルを投入。

「リモートに適応した最適化されたオペレーションを設計して、通常2~3カ月かかるところを1カ月でスタートにこぎ着けました」

このプロジェクトが立ち上がったのは20年11月。21年に入って緊急事態宣言が再発令されたが、現在も安定的に業務が継続されているという。

働き手の属性にかかわらず柔軟な雇用を実現するBPO

パーソルテンプスタッフのBPO部門が専門部門としてスタートしたのは11年前だ。社員数9人での出発だったが、現在はパーソルテンプスタッフ全体の2割強を占める事業規模に成長した。なぜ多くの企業や自治体に頼られるBPOサービスへと成長できたのか。強みの1つは、もともと顧客先でオペレーション機能を作るオンサイト型を主力としてきた点だろう。

「お客様先で先方の社員の方々と緊密にコミュニケーションを取りながら進めていくので、お客様としても安心できるのでしょう。大手通信会社のケースもそうでした。当初は一部門のみでのご利用でしたが、オンサイトで顔が見えやすいことから評判が広がって、他部門からも業務を受託することになりました。現在は十数部署の業務に広がりました。受託の業務量が増えるとスタッフの1人当たりの生産性が高くなり、コストが下がるというメリットもあります」

高評価の理由はほかにもある。「人が6割、業務設計が3割、ITなどのツールが1割」という思想に基づいた業務品質の実現だ。これはITというツールを動かすにも人が大事で、次に効果的な業務設計も重要だという考えに基づく。そのためパーソルテンプスタッフが最も重視しているのは人材だ。

「BPOはお客様の人事規定や就業規則に制限されず、自分たちのルールで人材を活用できます。年齢や性別などの個人の属性は関係ない。実際、いま18歳から80歳までの方が活躍しています。また働き方も柔軟で、週に数日だけ、一日のうち数時間だけといった働き方も可能です。柔軟に働ける環境を整えて多様な人材を活用していくことで、お客様にも価値を提供できます」

背景には、「雇用の創造 人々の成長 社会貢献」という同社の経営理念がある。これまで活躍の場が限られていた人たちにも雇用の機会を提供して、社会貢献に努めている。その意味で、現在、東京都東村山市と兵庫県神戸市など全国4カ所に設置されているジョブシェアセンターの試みも興味深い。地域に雇用を創出したい自治体との共同経営で運営されている。

「仕事を居住区に近づける『職住近接』のコンセプトで始めたもので、『働きたいが都心まで通勤するのは大変』『フルタイムはできない』といった方のニーズに応えているため、働く方からは好評ですね。同じ地域の雇用創出でも、工場や大企業のオフィスを誘致すると、どうしても長い時間や莫大な予算が必要になります。一方、パーソルテンプスタッフのBPOなら、雇用の形態を柔軟にすることで、多くの雇用を生み出すことができます。自治体と連携した取り組み第一弾の東村山では同じビル内にハローワークがあり、求職中の方が希望の仕事を見つけるまでBPOのジョブシェアセンターの中で働くといった支援も可能です」

人とデジタルの最適な組み合わせで業務を再設計

BPOの品質には、業務設計力の果たす役割も大きい。物流倉庫や大規模コールセンターなどの労働集約型の業務はマニュアル化が容易だ。一方、パーソルテンプスタッフが得意とする事務領域は、業務が属人的で複雑。そこをいかに整理してリデザインするかが腕の見せどころだという。

「業務設計を行うコンサルタントには、経験者やコンサルティングファーム出身者など、目に見えないものを可視化することに長けている人材を採用しています。現在、子会社も含めて60名以上のコンサルタントがいますが、ここ2~3年で100人規模に強化する予定です。専門人材を活用していくことで、業務の理解を深め、さらなる品質改善を進めるためには、例えば業務設計が2割、ITツールが4割など、業務の状況に合わせて体制を変化させていくことも重要です」

業務品質を左右する最後の要素が、デジタルツールだ。パーソルテンプスタッフではAI–OCRやRPA、アバターの技術を積極的に取り込み、効率的なオペレーションを実現している。労働集約型業務と違ってパソコンのデスクトップ上で行うような事務領域は、多様かつボリュームが少ないため、ロボット化しても採算を取りにくいが、同社はRPA機能を必要な工程だけサブスクリプション型で提供する「Robot+(ロボプラ)」を開発。低コストで自動化できる環境を整えた。すでに200件以上の問い合わせが来ており、好調な出足だ。

RPAのサブスクリプションサービス「Robot+(ロボプラ)」は、事務業務を最適なプロセスに設計してRPAで自動化するサービス。経理、人事、営業、調達・購買・マーケティングなど、必要な工程だけを切り出して処理が可能だ

※「Robot+」導入により、請求書処理業務1件当たり約8分を約2分に短縮と想定

もちろんすべてをデジタル化できるほど事務領域はシンプルではない。パーソルテンプスタッフが思い描くのは、人とデジタルが協働する新しいBPOの世界観だ。

「入り口は人が担当して、顧客接点はアバターのようなバーチャルワーカーが支援し、ある工程はデジタルワーカーのロボットが処理。ハンコを押すなどの物理的作業はメカニカルワーカーに任せ、最後にまた人が受け止めるといった流れができたら面白いですよね。リアルワーカーである人が、業務をクラウド上に乗せていつでもどこでも処理できる“見えないワーカー”になってもいい。どのような組み合わせのときに人の力が生きて、お客様にも低コストで高品質のBPOサービスを提供できるのか。引き続き探求していきます」

パーソルテンプスタッフのBPOサービスの1つである窓口対応業務では、一部アバター技術を取り入れており、タッチパネルで問い合わせたい内容を選択すると、遠隔でオペレーターが対応する

さらに高倉氏は、BPO事業の展望についてこう語ってくれた。

「現在、企業がミドルバックの業務を外部に依頼するときは、総務はここ、給与計算はここ、システム構築はまた別の会社というように、バラバラに発注しています。しかし、それではコストがかさみ、管理も煩雑になる。パーソルテンプスタッフは、ミドルバック業務をパッケージで受託して、お客様にフロント業務やR&Dなど自社の競争力の源泉になる領域に集中していただく世界をつくりたいと考えています」

パーソルテンプスタッフは個人の「はたらく」に焦点を当て、アップデートしてきた。今後は、新たな形のBPOサービスを通じて、「企業経営」の常識を塗り替えてくれそうだ。