「Visa Business Pay」が秘める可能性
「Visa Business Pay」の
活用でコア業務への特化、競争力強化を実現
「Visa Business Pay」の仕組みは、サプライヤー(供給元、納品業者)企業がVisaカードの加盟店となり、バイヤー(買主)企業がVisaカードを使用することで、代金の請求や決済を電子的に行うものだ。
導入によって生まれる価値は、コスト削減ばかりではない。架空のケーススタディに戻ろう。A社では、これまで、営業担当者が顧客である飲食店などを訪問し、現金で集金することも少なくなかった。多額の現金を持ち運ぶことは犯罪に遭うリスクもあり、社員にはストレスになっていた。このほか、未回収の売掛金についても、請求書の再発行などの業務が増え、本業に支障をきたすこともあったが、「Visa Business Pay」を利用すれば、こうした業務や心配事を減らすことができるだろう。営業担当者は、本来の営業活動に注力できるようになるはずだ。
ところで、クレジットカードなどのカード決済において、カード番号やパスワードを管理するリスクを心配する人もいるだろうが、「Visa Business Pay」なら、その点でも安心だ。カード番号などを預からず個別のIDで取引を進められるようになっている。
カードを活用したB2B決済が
さらに拡大する可能性も
日本の法人消費支出の約914兆円のうち、カード決済は約2兆円※と推測されており、カード決済比率は0.2%に留まっているという。また、米国などに比べて、日本では法人向けのコーポレートカードやパーチェシング(調達・購買)カードの普及が進んでいない。これらの大きな理由として、「法人カードを使いたくても、使える取引先が少ない」という声が聞かれる。
「Visa Business Pay」を活用することで、サプライヤー企業にとっては「カードの使える納入元」として、他社との差異化を図るとともに、受注機会の増加が期待できる。経営資源の限られている中堅中小企業はもちろんのこと、大手企業にとっても、有用なサービスであろう。
実際に、大手輸送機メーカーなどからは、メンテナンス部品の販売など小口で大量の決済に「Visa Business Pay」を活用したいと引き合いがあるという。
ちなみに、「Visa Business Pay」は、世界の200以上の国と地域において決済サービスを提供するVisaの中でも、日本独自に開発されたサービスだというから興味深い。請求書・領収書の発行機能と支払状況確認機能の両立という、大きなニーズがありながらこれまでなかった「コロンブスの卵」的なサービスだが、実際に運用するには大きなシステム投資が必要なはずだ。Visaの同市場への力の入れ具合もうかがえる。
「日本発」の画期的なサービスで、市場がどこまで成長するか。大いに期待が高まるところだ。
※法人消費支出:Visa Global Commercial Consumption Expenditure 2012、
ビザ・インク 2013年11月発表