HISが取り組む「攻め」のDXとは? 「接客DX」に中高年層が急増のワケ

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「価値観が一致したことが大きいですね。われわれはずっと、『お客様が旅行会社を通じてご旅行を申し込まれる意義は何か』と考えてきました。語学が堪能でITリテラシーもお持ちの方であれば、ご自分で航空チケットから現地のホテルまですべて手配することができますが、旅行会社のコンサルティングを求める方は少なくありません。

だからこそ、オンラインでの『おもてなし』の実現に挑戦すべきだと感じましたし、われわれにない技術力を持つジールスさんと、新たな接客の形を生み出したいと考えたんです」(杉田氏)

CEO自ら聞き取りし、顧客本位の仕様に変更

HISとジールスが取り組む「接客DX」は、「チャットボット」「有人チャット」「ビデオ接客」の3段階で構成されている。AIが搭載された「チャットボット」は、自由入力だけではなく、選択肢での回答も織り交ぜることで、潜在的なニーズやインサイトを引き出す。会話データはCRM(顧客情報管理)で一元管理し、分析することで、「有人チャット」および「ビデオ接客」での接客の質を高めている。

実は、HISでは、チャットボットもビデオ接客も、単体のサービスとしてはかなり早い段階から導入していたが、それぞれで完結させようとしていたため、リアル店舗での接客を再現できる水準ではなかったという。

「デジタルツールを導入するだけでは、DXは実現できません。重要なのは、目的のために発生する一連のプロセスを一気通貫にすることです。そのため、コミュニケーションデザインを手がけるUXライターの専門チームが、ウェブサイトを閲覧し始めたお客様をビデオ接客に促すまでの流れを設計しました」(清水氏)

もちろん、画一的な設計では意味がないため、顧客企業ごとに設計はカスタマイズ。HISスタッフの経験を生かしたコンサルティングをオンライン上で再現するため、コールセンターでの聞き取りも行った。杉田氏は、そのときの様子を次のように明かす。

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