稼働率の高いスタジアム・アリーナを 今こそ、地域の経済活性化につながる

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高度な制御・免震で高い安全性と信頼性を確保

横河システム建築はプールなどのスポーツ施設のほか、大型スタジアムの開閉式屋根の建設などで豊富な実績を持つ。ノエビアスタジアム神戸(神戸市)、豊田スタジアム(愛知県豊田市)、香港沙田競馬場などでも同社のシステムが採用されている。

開閉式屋根施工例

同社の高い技術力には定評があるが、例えばピッチの昇降時や地震などに対する「ホバーレ」の安全性や信頼性はどうなっているのだろうか。髙柳氏は次のように答える。

「『ホバーレ』の大きな特長は、ピッチに独自の内蔵フックを約80カ所程度設け、それぞれを80台程度のウィンチにワイヤでつないで上空に持ち上げることです。ウィンチの同期・同調(速度・位置・バランス)をコンピューター制御することで、ピッチ床の安定的な昇降を可能にしています。また上部アーチ構造体も含めた先進の免震システムにより、昇降時などに地震が発生した場合でも、ロック機能や免震システムが稼働するようになっています」

80カ所程度に及ぶ吊り治具は天然芝に障害を与えないように配慮されているというが、ウィンチも80台というと昇降作業は大がかりなものにならないのだろうか。

「先ほどお話ししたように、80台のウィンチはコンピューターで細かく制御されていますので、人はスイッチを押すだけでピッチの昇降ができます。たくさんの技術者が付きっきりで位置を確認する必要はありません。昇降時のコストもほぼ電気代だけです。さらにフックやウィンチが多いことによるメリットもあります。フックが80カ所ということは荷重がかかる場所も80カ所に分散されます。このため、たわみや曲げモーメントも小さくなるため、ピッチ床を軽量化することができ、ピッチ床の厚みも2メートル程度に抑えることができます」(髙柳氏)

連続梁モーメント(曲げモーメント)図
大スパンの単純梁から連続梁とすることで、曲げモーメントを小さくでき、トラスの梁せいを低く(小さく)することが可能

さらに、ピッチ床のピットも作らずにコンクリート土間をGLラインと同レベルとすることで、各種イベントへの変換も容易にすることができるという。

「このほか、設計や施工、メンテナンスなどにおいては、鉄道システムなどのライフサイクルにわたる国際的なマネジメント規格であるRAMS規格をベースに行っており、冗長性を確保しているほか、長期間における信頼性・安全性の確保を目指しています」と髙柳氏は自信を示す。

気になる価格だが「施設によって異なるものの、ピッチ床の昇降システムだけなら、30億円程度から可能」(髙柳氏)という。施設の稼働率向上により収益機会が大幅に増えることを考えれば費用対効果という点でも優れている。「ホバーレ」は、既存のサッカースタジアムなどへの後付けも可能だという。

「所有している施設の収益拡大を図りたいと考える地方公共団体はもちろんのこと、これからホームスタジアムを持ちたいと考えているサッカークラブ、さらにはスマート・ベニュー®や地域活性化に関心のある企業や団体などの皆さんと一緒に『ホバーレ』の活用法を考えていきたいですね。ぜひお気軽にお声がけいただきたいと願っています」と髙柳氏は力を込める。スタジアム・アリーナを中心にした元気な街があちこちに誕生しそうで、今から楽しみだ。