新日本製薬の大きな可能性 コロナ禍にもかかわらず、業績が堅調
■Top Interview
日本発の「オールインワン」が、
海外で大きく成長するチャンスがある
――2019年6月に東証マザーズに上場されましたが、いきなり新型コロナウイルスの影響を受けることになりました。
後藤 多くの企業と同様に、当社にとっても想定外の出来事でした。しかし、当社は当初から工場を持たないファブレス経営であり、経営資源を研究開発やマーケティングに集中して投資してきました。このことで、固定費を抑えるとともに、緊急事態宣言の発令など経営環境の変化にも柔軟に対応できました。また、逆にお客様の在宅時間が増えることにより、コールセンターへのお問い合わせなども増え、販売チャンスにつながりました。
――オールインワン化粧品「パーフェクトワン」は競争の激しい市場においてトップシェアを誇っています※。その理由はどこにあるとお考えですか。
後藤 現在の販売手法は、通信販売がメインになっています。当社には440万人のデータベースがあり、これらの「生の声」を生かした商品開発を行っています。また、コールセンターの対応についても、お客様お一人お一人の要望やお悩みに親身に寄り添うことを重視しています。商品がシンプルで多機能、リーズナブルであることに加えて、「ずっとパーフェクトワンを使いたい」と思っていただける信頼関係の構築が重要だと考えています。
――さらなる成長のために、今後、どのような戦略を実施していく計画ですか。
後藤 「パーフェクトワン」については、グローバルブランドとしてさらなる成長を目指します。今後も革新的な新商品を投入することで、お客様満足を追求していきます。今秋には新たなオールインワンジェルも発売予定です。
「アフターコロナ」時代には、個人の「自律したヘルスケア」が大きなテーマになってくると考えられます。そこで、ヘルスケア商品についても今秋に新たなブランドを立ち上げる予定です。
――チャネルや市場の拡大についてはどう加速させていくお考えでしょうか。
後藤 EC・デジタル展開については今後さらに拡大していきたいと考えています。自社ECサイトやスマートフォンアプリを活用し、若年層も含めた新規顧客の獲得を進めていきます。海外事業については、すでに台湾、中国、香港、ASEANに進出しており、今後はとくに成長率が高く、規模の拡大が期待できる中国を中心に事業拡大を図ります。また、米国での展開に向けた準備も進めており、メイド・イン・ジャパンを強みに、海外事業の成長を加速したいと考えています。
――株主還元の方針は。
後藤 配当性向は現在30%程度ですが、今後はさらに引き上げることも検討しています。また、株主優待にも力を入れており、当社商品を愛用していただいている個人株主の方も少なくありません。
当社は目先の売り上げを追うのではなく、10年、20年と使い続けていただけるお客様との関係をつくりたいと考えています。株主の皆様にも、ぜひ中長期的な視点でご支援いただきたいと願っています。
※富士経済「化粧品マーケティング要覧2017/2018/2019/2020」
(モイスチャー部門およびオールインワン部門/メーカー、ブランドシェア2016/2017/2018/2019実績)