新日本製薬の大きな可能性 コロナ禍にもかかわらず、業績が堅調
データベースマーケティングで
きめ細かくニーズに応える
「パーフェクトワン」という強いブランドを持つ新日本製薬だが、事業運営のリスクを低く抑えている点には注目したい。
まず同社の大きな特徴の1つは、工場を持たないファブレスメーカーであることだ。製造はすべてOEMで行っている。
直営店は全国に12店舗あるが、これも各地のアンテナショップ的な位置づけであり、大手化粧品メーカーのように全国を網羅する店舗網や大勢の美容部員を擁する考えはない。逆に新日本製薬が積極的に経営資源を投入しているのが、商品開発およびマーケティングだ。商品開発では新商品の開発だけではなく、既存商品の改良にも力を入れており、主力のオールインワン美容液ジェルについても2年に一度はリニューアルされているという。
顧客との接点を強化する「データベースマーケティング」を重視しているのも新日本製薬ならではだ。同社にはこれまで自社商品を購入したことのある440万人の顧客データと直近の利用顧客156万人の「生の声」のデータが蓄積されている。その多くはミドル世代(40歳)以上の女性だ。
さらに、コールセンターでは、毎月20万件の応対数があるという。これら顧客のニーズに合った商品を投入することで、一過性ではなく、顧客の長く継続的な利用が実現するわけだ。実際に、今期マスク着用による肌荒れや季節特有の肌悩みに合わせた商品展開により、季節限定商品が4月から3カ月連続で販売目標数量を達成したという。
ヘルスケア事業、海外事業も加速
さらなる成長を目指す
主力ブランドである「パーフェクトワン」は、今後もオールインワンスキンケア市場をリードしそうだ。新日本製薬がさらに成長を加速させるためには、もう1つの事業の柱であるヘルスケア事業がカギになりそうだが、こちらは20年秋に新たなブランドを立ち上げ、ヘルスケア事業の成長を進めていく考えだ。国内市場に加え、海外市場での成長も楽しみだ。16年の台湾を皮切りに、すでに中国、香港、タイ、シンガポールに展開しており、実績も上がっている。20年6月にはベトナムでの展開も始まった。中国を中心に成長著しいアジアをはじめとした海外で、日本発のオールインワン化粧品「パーフェクトワン」が存在感を発揮するのが楽しみだ。こういった点からも、新日本製薬は、中長期的に注目するに値する企業の1つといえるだろう。