新日本製薬の大きな可能性 コロナ禍にもかかわらず、業績が堅調
2020年9月期第3四半期は増収
通期見通しも好調に進捗
化粧品、健康食品、医薬品を企画・販売する新日本製薬が2020年8月6日、同年9月期第3四半期(19年10月~20年6月)の決算を発表した。それによると、営業利益は前年同期比で1.6%減少したものの、通期計画に対する進捗率は81.0%に達している。さらに、売上高は前年同期比で0.8%と増加し、通期計画に対する進捗率は73.1%となった。
注目すべきは、チャネル別売上高で、直営店舗・卸売販売が新型コロナウイルスの感染拡大などの影響を受け1.1%の減少となった一方で、国内外EC(電子商取引)販売が前年同期比で22.7%増と急成長していることだ。
コロナ禍に見舞われ、多くの企業が業績見通しを下方修正しているが、新日本製薬では通期見通しを当初予想どおりとしている。その要因としては、同社の商品の特色が挙げられるだろう。主力商品のオールインワン化粧品は、手軽に賢くスキンケアができる「日常使い」の商品として、外出機会が減っている昨今でも根強い需要があるからだ。今後はさらに節約意識も高まると考えられることから、需要はさらに拡大すると予想できる。
オールインワンスキンケア市場を開拓。
国内トップシェア※
新日本製薬は1992年に生活用品の企画・販売会社として福岡県で設立された。94年に健康食品の通信販売、2000年に基礎化粧品の通信販売、06年に医薬品の通信販売を開始。19年6月に東京証券取引所マザーズに上場している。
化粧品では、「パーフェクトワン」ブランドのスキンケア商品、健康食品は青汁や機能性表示食品、医薬品は生薬や漢方などのラインナップがある。現在は化粧品の売り上げが全体の91%を占めている。
そして、同社の事業を力強く牽引しているのが「パーフェクトワン」ブランドのオールインワン化粧品だ。オールインワン化粧品とは、化粧水や乳液、クリーム、美容液などの機能が1つの商品に含まれたスキンケア商品だ。例えば、同社の「パーフェクトワン オールインワン美容液ジェル」は、化粧水、乳液、クリーム、美容液に加え、さらにパック、化粧下地の6役を1つの商品でこなす。また「パーフェクトワン クレンジングリキッド」は、メイク落とし、洗顔、毛穴ケア、角質ケア、保湿、マッサージの6つの機能を1つで可能にした。
節約意識の高まりや時短ニーズに対応し、近年オールインワンスキンケア市場が拡大している。実は新日本製薬は、このオールインワンスキンケアでは草分け的存在なのだ。
「パーフェクトワン」は、19年までの5年間の年平均成長率13%の勢いで売上高を伸ばしているだけでなく、ブランドシェアはオールインワンスキンケア市場ナンバーワンの25.7%(19年)、4年連続市場シェアナンバーワンを誇る※。「パーフェクトワン」は、まさに市場をリードする存在なのだ。
※富士経済「化粧品マーケティング要覧2017/2018/2019/2020」
(モイスチャー部門およびオールインワン部門/メーカー、ブランドシェア2016/2017/2018/2019実績)