「後発の強み」生かした未来型の銀行づくり IT産業型の新たなサービスモデルの構築

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そこで同行は20年4月、銀行APIの普及や企業のDX支援に向けた新たな取り組みとして、銀行API実験環境「sunabar」を提供開始。エンジニアが自由に銀行APIに触れられるサンドボックスを提供することで、企画フェーズでの使用やテスト期間の短縮化を図れるようにしたのである。同行の口座を持っている法人もしくは個人であれば、誰でも無料で参加できる。

「『sunabar』という名前は、IT用語のサンドボックスとbarからなる造語で、当初はAPIのサンドボックス環境の提供と、エンジニア向けのリアルイベントを開催し、コミュニティーを活性化していく予定でした。今は新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインセミナーなどの活動にとどまっていますが、今後はハッカソンや交流会といったリアルイベントも開催していきたいと考えています。銀行APIやDXに興味のある方はぜひ、ご参加いただきたいですね」(同)

また、テクノロジーを活用した業務プロセスのデジタル化を推進する「LayerX」と、次世代金融サービスの検討に向けた基本合意書を締結し、あらゆる産業におけるDXを支援する体制を整えた。

「企業がDXを推進するうえで、銀行APIは不可欠な存在ですが、業務プロセス全体の中では一部分です。DXの必要性や銀行APIと接続するメリットを理解していても、自社でDXの全体像を描き、つくりきることができず困っている企業は少なくありません。そこで、DXやブロックチェーンに関する豊富なノウハウを持つ『LayerX』と協働し、企業のDXを推進していくことにしたのです。現在はまだ公表できないのですが、設計検討に入っている案件もあります」(同)

マイナス金利政策の長期化や金融機関の閉鎖的な体質によって、業界全体がやや硬直化している印象を受けるが、DXの波はいや応なく押し寄せてくる。

「われわれは、ネット銀行事業開始2年目でまだまだ力不足の面はありますが、これまでの慣習やしきたりにとらわれない後発銀行の強みを生かし、皆さまと一緒に未来型の銀行をつくっていこうとチャレンジしているところです。銀行APIを活用した企業のDX支援をはじめ、IT産業型の新たなサービスモデルの構築を牽引することで、日本経済の活性化に貢献していきたいと考えています」(同)