「後発の強み」生かした未来型の銀行づくり IT産業型の新たなサービスモデルの構築
アクティブシニアの人材派遣を手がける「キャリア」では、毎月5000人近い派遣スタッフが稼働し、日払いにも対応しているため、毎月1万回を超える給与振り込みが発生する。
従来は、FAXで申請を受け付け、担当者が勤怠システムと突合したうえでインターネットバンキングにログインし、支払金額を入力していた。しかし、同行のシステムとAPI連携し、こうしたプロセスの完全自動化に成功。派遣スタッフが自分の欲しいときにアプリから申請するだけで、即時に給与を引き出せるようになった。
また、業務が効率化されたことで、勤怠管理や給与計算業務を担当していた事務センターを約30人のスタッフごと別の企業に譲渡できた。
大手旅行会社「JTB」が運営する企業版ふるさと納税サイト「ふるさとコネクト」も、同行のAPIを活用している。
API連携で寄付金ごとに入金専用のバーチャル口座を自動発行し、そこに企業がお金を振り込むことで入金照合を自動化。ふるさとコネクトから自治体口座への振り込みも、入金後、即座に自動振り込みできるようにした。
「日々、たくさんの問い合わせをいただき、銀行APIの活用の広がりを肌で感じております。デジタル化が進展する時代において、自社システムでも対外的なサービスのシステムでも、ビジネスを行ううえで銀行サービスを組み込み一気通貫のプロセスを構築するのは当然の流れといえるでしょう。また最近では、銀行機能をパーツとして自社サービスのように提供したいというニーズから、プラットフォーム銀行サービスへの引き合いもいただくようになっています」(金子氏)
DXの波が押し寄せる中、日本経済の活性化に貢献
API接続したいという企業は大きく2種類に分かれている。1つは、2社の事例のように、自社の業務プロセスを効率化してコスト削減を図るケース。もう1つは、サービスの付加価値を高めて既存ビジネスを拡大、もしくは新しいビジネスモデルを生み出すケースだ。くしくも新型コロナウイルスの感染拡大で、さまざまな業界のDXが加速度的に進んでおり、銀行APIのニーズはますます高まっていくと考えられる。