
サービススタート10年で、
結婚式場契約件数業界ナンバーワンへ
高級ホテルや専門式場からチャペル・教会、レストランなどまで、全国には約4000の結婚式場があるとされる。そのうち、約1900の式場と契約し、情報提供しているのが結婚準備クチコミ情報サイト「ウエディングパーク」だ。2004年にウエディング業界で初めてクチコミサービスをスタートさせた。クチコミサービスのパイオニア的存在であり、もちろん業界トップのシェアである。件数だけでなく、その内容にも注目したい。定評あるホテル格付けガイドで「六つ星」の評価を得ている外資系高級ホテルのほか、国内を代表する有名ホテルや結婚式場の情報が並ぶ。一方で、隠れ家的なレストランウエディングや、一軒家を貸し切るゲストハウスウエディングなどの情報も充実している。
日紫喜 誠吾
サービススタートから10年で契約件数ナンバーワンの地位に達したことについて日紫喜(ひしき)誠吾社長は「『クチコミ情報サイト』という当社のビジネスがようやく理解されるようになってきた」と話す。
いまでこそ、書籍や家電などのほか、さまざまな商品・サービスがユーザーの「クチコミ」で評価され、それがユーザーの購買判断を大きく左右する時代になっているが、「ウエディングパーク」でのサービスをスタートしたころはまだ過渡期。特にブライダル業界はインターネットの活用もほとんど進んでいなかった。
同社の成長の歴史も、決して順風満帆ではなかったようだ。「むしろ、大きな危機を何度も経験しました」と日紫喜社長は振り返る。
「結婚準備情報も必ずクチコミになる」という信念を貫いて
「ウエディングパーク」に掲載されているクチコミ情報は現在、約40万件を突破している。その中には、「披露宴会場に大きな柱があり、新郎新婦が見えにくい」、「駅からホテルまで坂道のため、お年寄りの参列者にはきつい」といった、いわゆるマイナス評価のものもある。
「サービススタート当初は、『わざわざお金を払って、なぜ悪口を書かれないといけないのか』とおしかりを受けることも少なくありませんでした」(日紫喜社長)。
営業活動にも苦労したようだ。前例のないビジネスだけに、顧客である結婚式場はもちろんのこと、同社の社員にとってもなかなか手応えを感じることができない。
「2年やっても、お客様(結婚式場)は伸び悩み、やってもやっても売れない。若手社員だけでなく、役員までも、何人も辞めていきました」
その逆境を乗り越えたのは、「これからは式場選びも必ずネットの時代、クチコミの時代になる」という日紫喜社長の信念だった。
その後の市場の変化はご存じのとおりである。カップルが2人でスマートフォンを手に結婚式場を探すことが当たり前になっている。さまざまな商品・サービスと同様に、結婚式場においても、マイナス評価を含むクチコミ情報を見て、「他のカップルがその式場をなぜ選んだのかを知り、安心し、納得した上で式場を選ぶ」(日紫喜社長)という流れが確実にできているのだ。
最新のIT技術を駆使した使い勝手のよいサービスに強み
ウエディングパークの成功は、まさにインターネット市場の広がりを予見し、パイオニアとしてそのニーズに応えた結果であろう。だが最近では、同社の後を追うように、結婚式場検索サイトも増えている。その中で、ウエディングパークが顧客から支持されているのには、どこに理由があるのか。
日紫喜社長は、「最新のIT技術を活用した質の高いサービスには自信を持っています」と話す。
同社ならではの沿革がその背景にある。というのも同社の親会社は、「Ameba」サービスなどのほか、インターネットサービスを幅広く手がけるサイバーエージェント(以下、CA社)なのだ。「具体的な経営戦略は当社に任せられており、自由にやらせてもらっている」(日紫喜社長)というが、グループとしてのシナジーは発揮されている。
房 紘士
ウエディングパーク 営業本部の房紘士本部長は、「『Ameba』と連携したユーザー向けのイベントなども好評」と説明する。
昨年9月には、「Ameba」が運営する女性ブロガーコミュニティと連携し、東京の有名結婚式場である目黒雅叙園にて開催されたイベントのなかで、人気女性ブロガー400名向けに、新作ウエディング衣装公開ショーも実施した。
全国に8カ所の拠点ネットワーク
社員による直販体制できめ細かくサポート
房本部長は「IT活用のノウハウをお客様に提供することで、式場の申し込みという契約に結びつく提案ができるのも当社の特色」と力を込める。
「ウエディングパーク」では、ユーザーが式場の下見や資料請求をしたいと思った場合は、直接、式場のサイトを訪問する仕組みになっている。一般的な結婚式場検索サイトでは、個人情報の取得までをサイトにゆだねるため、広告のデザインや表現などに制約も多い。「ウエディングパーク」なら、自社ならではの自由な方法でユーザーにアピールできる。
「どんなキャッチフレーズがユーザーに響くのか、式場のどんなコメントに安心するのかといった、コンバージョン(成果)につながるデータを細かく収集しています」(房本部長)。
これらの結果は、ウエディングパークに所属する専任の講師が、全国各地で合計100回以上に渡り開催しているセミナーなどで公開されているという。 スマートフォンに最適なサイトを簡単な操作で作成できる「スマつく」などのツールも好評だ。
特筆すべきは、このようにITに強みのある企業でありながら、全国8カ所に拠点を設け、同社の社員が直接営業活動を行っていることだ。
「ネット企業だから東京だけでできるというものではありません。結婚式場は特に地域性が表れます。それぞれの地方の式場やカップルのニーズに応えるためには、文字通り、きめ細かくお客様を回り、ひざをつきあわせてのヒアリングや提案活動が不可欠」と房本部長は説明する。
「21世紀を代表するブライダル会社を創る」ために、
制度改革にも積極的に取り組む
ウエディングパークの社員を見ると、若くても責任ある仕事を任されていることがわかる。
日紫喜社長は「私もそうでしたが、課題に直面し、その解決に取り組むことで、人は成長できるものです。若い社員にも積極的にチャンスを与えたいと考えています」と話す。
社員の可能性を引き出したり、モチベーションアップにつなげたりする制度も豊富だ。各種人材育成プログラムのほか、月間、半期の表彰も盛大に行われる。ユニークな制度もある。「せどつく」と呼ばれるのは、その名のとおり、会社にこれまでない新規制度を新入社員が作るというもの。たとえば、社員の結婚記念日(1、10、25周年)ごとに祝い金が付与される「祝って22(ふうふ)」や、家族への感謝の気持ちを伝える特別休暇が取得できる「家族へありが10(とう)」なども「せどつく」から生まれた制度だ。
ウエディングパークは、すでに海外挙式情報サイト「リゾートウエディングFelicita(フェリチタ)」を展開しているが、今後は日系企業の海外進出や、アジアなど新興国での日本品質のサービスの提供も視野に入れている。
「国内は成熟傾向と言われますが、結婚式を挙げないカップルが2組に1組もいます。このようなカップルに『こんな式ならやってみたい』と思ってもらえる提案をするだけも成長の余地は大きい。また、結婚式だけでなく、ジュエリーや旅行なども含めると、当社がやれることはまだまだ多いと考えています。
『21世紀を代表するブライダル会社を創る』というのが当初のビジョン。その実現のために、前例のないことにもさらに挑戦していきます」と日紫喜社長は力を込める。
大げさでなく、ウエディングパークの取り組みによりウエディング業界の未来が大きく変わる可能性がある。引き続き、同社の行動に注目していきたいところだ。