100年の情熱を未来へつなぐ 日本大学理工学部 創設100周年
創設以来、「実務者の養成」を掲げた教育を実践
日本大学理工学部の歴史は、1920(大正9)年、日本大学高等工学校の設置に始まる。「当時、優れた技術者の育成が急務となっており、その声に応えるために設置されました。そのときから私たちが一貫して目指してきたのは、科学と技術の力を基礎としながら、社会に役立つものづくりを行う『実務者の養成』です」と、理工学部長の岡田章氏は紹介する。まさに時代の要請に応える人材を育て、輩出しようとしてきたわけだ。
58年に、理工学部に名称変更。現在は、理学・工学の14学科、大学院理工学研究科は16専攻という幅広い分野で教育研究が行われている。在学生は約1万人、教員は約900人という大きな規模となっている。
「スケールメリットを生かし、研究施設の整備などにも力を入れてきました」と岡田氏は話す。特色の1つは、駿河台(東京)と船橋(千葉)の2キャンパス制になっていることだ。
駿河台キャンパスは2018年7月に、地上18階、地下3階の新校舎(南棟)が竣工した。最新の教育研究環境が整ったこの高層建築による新しい学びの場は、理工学部創設100周年、短期大学部(船橋校舎)創設70周年を記念して愛称が募集され、審査の結果、当時の在学生が応募した「タワー・スコラ(La SCHOLA)」と名付けられた。
一方の船橋キャンパスは、東京ドーム6個分の広大な敷地に、自動車・二輪車の走行試験や、小型飛行機・人力飛行機の滑走試験などが行える全長618mの交通総合試験路をはじめ、最先端の研究施設が充実している。国内屈指の大型実験施設なども備え、企業からの共同研究の依頼を受けることも少なくないという。
「ただし」と岡田氏は加える。「規模は大きいですが、学生一人ひとりに対するきめ細かな教育には力を惜しんでいません。実際に手を動かし、実験をし、計算をして、基礎から徹底的に学ぶことができるのが本学部の大きな特長です」。
単に流行のテクノロジーを追うのではなく、「なぜそうなるのか、なぜできないのか」を自ら感じたことのある学生は強い。企業や官公庁に就職してからも、課題解決型の人材になれるに違いない。1級建築士や技術士などの合格率が全国の理工系大学の中でもトップクラスなのもここに理由がありそうだ。