100年の情熱を未来へつなぐ 日本大学理工学部 創設100周年

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次代を見据えた教育CST×DREAM

日本は高度経済成長期を経て、バブル崩壊、さらには成熟期を迎えている。この100年間、グローバル化は急速に進展した。だがそれに伴う新たなリスクも生まれている。折しも、理工学部が100周年を迎えた2020年には新型コロナウイルスの感染拡大が忘れられない出来事の1つとなった。理工学部では通学を伴わないメディア授業を実施するなど、さまざまな対応を積極的に行っている。

海外の共同研究者と実験準備を行う学生

だが、これからも、世界にどのようなリスクが起きるのか、また社会がどのように変化するのか予測することは容易ではない。岡田氏は、「そうした中で、これから活躍できる理工系人材を育てるために、私は『CST×DREAM』というキーワードをコアに置いています。米国では科学技術および経済分野での国際競争力を維持、発展させるための人材を育成するべくSTEAM教育を国の施策として掲げ、大きな教育予算を投入されました。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の5つの要素を示しています。理工学部はSTEAMという呼称が定着する前から、これらの要素の教育に力を入れてきましたが、私たちはそこからさらに一歩進んで、創造的なDesign(デザイン)を通してRealization(実現)する力を育成する学部(College)でありたいと考え、『CST×DREAM』教育を実践していきます」と語る。

※CST=College of Science and Technology=理工学部

30年後に夢を実現できる日本の社会を支える人材へ

創設からまさに1世紀。「エンジニアリングの日大」とも呼ばれるほどの社会の評価を得ているのは名実ともに、実務・実践を強く意識した教育プログラムを続けてきたからであろう。

日本大学は「自主創造」を教育理念に掲げるが、それはそのまま理工学部のカリキュラムにも生かされている。日本の「ものづくり」のあり方が問われようとしている今、「『自主創造』とはまさに、自ら考え、新たな価値を生み出すことにほかなりません。単に生産・消費される『もの』ではなく、『こと』を創出できる『ひと』を育てることが理工学部の使命だと考えています」と岡田氏は語る。未来の日本の社会を支える「ひとづくり」がますます重要になるということだろう。

「これから本学部で学び卒業していく人たちにはぜひ、30年後の日本、世界がどうなっているのか、その中で自分が何をしているのか、意識していただきたいですね。30年後の未来で、自分の夢を実現し、社会を支える人材になってほしいと願っています」

その言葉どおり、これから30年、さらには次の100年を見据えた、日本大学理工学部の教育研究にさらに期待が高まる。

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