フューチャーセッション
「レジリエンスの未来」
対話により「これからの日本の地震対策の姿」を創造していく
参加型セッション
レジリエンスは柔軟性
を積み上げること
参加者同士の対話の前に、名古屋工業大学大学院教授の渡辺研司氏が、インスピレーションコメンテーターとして、レジリエンスの論点を挙げた。レジリエンスは、しなやかな復元力、弾力性のある回復力、強靱力などの訳も検討されてきたが、日本語として適当な概念がまだなく、英語のまま使われている。渡辺氏は「柔軟性の積み上げがレジリエンスの原動力。直線的に戻るのではなく、危機を『変わるチャンス』にもできる」と述べた。
またレジリエントになるには「過去の災害が同時多発的に起きたらどうなるか、など経験をストレッチして組み替えたり、角度を変えて頭の中でシミュレーションすることがスタート」と指摘。「私の理論、ノウハウでは対応しきれなかった」という東日本大震災の経験から「非力さを認識し、それでも何とかしようというスタンス」の重要性を強調した。
続いて、参加者が具体的なレジリエンスの事例を紹介。「災害時の電力供給を考え、動く蓄電池として電気自動車を活用」。「震災で家庭内の食料備蓄の重要性に気づき、日常生活の中で食品をストック」。「小学校の防災マップづくりを参考にした工場内のリスク把握の取り組み」。「大雪の際に生徒が学校周辺の雪かきを行い、近所のお年寄りらから感謝される中学校」。「ツイッターを使い、市民から大雪でふさがった道路の情報を集め、効率的に対処した長野県佐久市長」―の5事例を共有した。