グローバル経営支援セミナー ブラジル編 ブラジル経済の現状と展望
高まる「ブラジルリスク」の処方箋と日本企業の投資戦略

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

【講演Ⅲ】
「ブラジルの移転価格税制」

KPMGブラジル シニアマネジャー
赤澤 賢史 氏

2012年1月からKPMGブラジルに赴任し、日系企業の相談に対応している赤澤賢史氏は、ブラジルの税制は改正が非常に多いことを指摘。連邦、州、市という3つのレベルで月に1000件ほどの改正があるという実態を明かした。また税務調査が入ると日本と違い当局との交渉の過程を踏むことは難しく、異議申し立てはしにくいが、訴訟になると5年~10年と長期化するケースが多い。税務システムが複雑で、1度申告すると取り消しや修正は難しいと注意を喚起した。

そのうえで移転価格税制は、そもそも自国の税収を守るための制度だと解説。KPMGブラジルが作成した「ブラジル投資ガイド」も用いて、国際的なガイドラインとは異なるブラジルの移転価格税制の特徴や現在の課題などを説明した。そして会計事務所は、税務調査時のサポート、事業計画分析や実行サポート、移転価格税制に関わる内部統制制度のレビューなどができることを紹介。原価基準法についての取り組み態勢について触れた後、いつでも相談に来てほしいと結んで講演を終えた。

【講演Ⅳ】
「ブラジル進出に際しての法的リスク
~労務管理とコンプライアンスを中心に~」

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー
角田 太郎 氏

新興国の中では、ブラジルは法的な整備が進み、外資に対する規制も少ない。外国企業も平等に扱うように憲法で規定している。角田太郎氏はまずそうした実情を紹介した。そのうえで、日本の法制度との違いや言語の壁があることなどが日本企業の課題だと指摘。労働法においては労働者の保護に傾斜しており、使用者側の負担が重いことも示した。また、三審制の労働裁判所があること、労働雇用省と労働検察庁という2つの監督官庁があり、雇用契約に関しては、通常期限の定めがないこと、契約内容の変更は書面による場合で、なおかつ労働者の不利益にならない場合にのみ認められることなどを説明した。

続いて労働者の権利、労働時間、解雇規制などに触れた後、2014年の1月に施行されたブラジル腐敗防止法の概要について解説。あらゆる企業体が処罰対象になること、違反企業の親会社、子会社、関係会社、さらに違反企業とコンソーシアムを組む企業も連帯責任を問われる可能性があるなどと語った。