グローバル経営支援セミナー ブラジル編 ブラジル経済の現状と展望
高まる「ブラジルリスク」の処方箋と日本企業の投資戦略

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【講演Ⅰ】
「共通の利益に基づいた
経済関係の育成(日本・ブラジル3.0)」

ブラジル国立経済社会開発銀行 理事
ジョアン・カルロス・フェハス 氏

ジョアン・カルロス・フェハス氏は、日本とブラジルの関係が新しい時代を迎えているとし、日本企業にとってブラジルには多くのビジネスチャンスが存在すると指摘。あるべき経済関係とは、一方的にメリットを享受するのではなく、共通の利害に基づいたWin-Winの関係を目指すべきと主張した。

またフェハス氏はブラジル経済の現状についてさまざまな指標を示しつつ、繰り返し「Inclusion」という言葉を使い、ブラジルでは経済社会の外に置かれていた多くの人々が中産階級に仲間入りし、経済的恩恵を受け始めることが大きな流れとなっている点を解説。ブラジルでは1億2000万人にまで膨らんだ中産階級層が経済社会の恩恵に浴している一方で、下水道の普及率は57%、インターネットにつながるコンピュータが2200万世帯に留まることなどを例に挙げ、今後も更に「Inclusion」が拡がって行く余地が大きいと指摘した。そして日伯関係は、日本からの移民が農業に貢献したフェーズ1.0の時代、1950~70年代にコモディティ輸出を目的にインフラ整備に貢献したフェーズ2.0の時代に続き、日本からブラジルへの投資が両国の補完的かつ共通の利益に根付いた経済関係を育成するフェーズ3.0の時代に突入していくだろう結んだ。

【講演Ⅱ】
「ブラジルレアルの為替相場
~高まる不安と期待。
相場はどこまで織り込んでいるのか~」

ブラジル三菱東京UFJ銀行 取締役
川原 一浩 氏

ブラジルの中央銀行などは中長期的な視野を持って政策を策定しており、信頼できるパートナーとして、ブラジルは魅力あるマーケットだと切り出した川原一浩氏は、レアル相場について解説。対米ドルでは安くなったが、他の通貨との比較では特にパフォーマンスの悪さが目立つわけではないとした。そしてレアル相場が動いた要因について、インフレ動向やファンダメンタルズなどの指標を用いて説明。企業中心の成長を実現するためには輸出をサポートするレアル安が望まれるが、過度なインフレを防ぐためにはレアル安は困るという微妙なところでマッチングしていると指摘。今後の相場を1レアル=39~46円のレンジと考えているとした。

米国の金融政策の変化なども総合して考えると、年末にかけてレアル安が進みやすい状況だが、他の新興国に比べると外貨準備高も高く、徐々に均衡レベルに落ち着くのではないかとの見通しを示した。

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