グローバル経営支援セミナー ブラジル編 ブラジル経済の現状と展望
高まる「ブラジルリスク」の処方箋と日本企業の投資戦略

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BRICsの中で、中国、インドに次ぐ消費大国として注目されるブラジルの現状と今後を知るための「グローバル経営支援セミナー ブラジル編」が2月、大阪、名古屋、東京の3カ所で開かれた。
東京会場ではまず、三菱東京UFJ銀行の副頭取・国際部門長の守村卓氏が「現地事情をタイムリーに知ることは今後の投資戦略を策定する上で重要」と挨拶。
駐日ブラジル連邦共和国大使館 大使
アンドレ・アラーニャ
・コヘーア・ド・ラーゴ
閣下
三菱東京UFJ銀行 副頭取 国際部門長
守村 卓 氏
次いで駐日ブラジル連邦共和国大使館 大使のアンドレ・アラーニャ・コヘーア・ド・ラーゴ閣下が「ブラジルは世界で2番目に大きな途上国であり、知れば知るほど興味深い国だと思ってもらえる」と挨拶して、幕を開けた。
【共催】
三菱東京UFJ銀行
ブラジル国立経済社会開発銀行
東洋経済新報社


 

【基調講演】
「ブラジル経済 今後の展望 ~成長は続くのか~」

三菱東京UFJ銀行 執行役員
中南米総支配人 兼ブラジル三菱東京UFJ銀行頭取
村田 俊典 氏

通算17年間ブラジルに勤務するという村田俊典氏は、欧米企業に比べて日本企業はブラジルへの投資に出遅れているが、ブラジルの実態について正しい認識がなされていないことが背景であると指摘。経済規模は世界7位で先進諸国と肩を並べるレベルに達しており、他の発展途上国との比較に於いて経済成長率が見劣りするとは言え、直近5年間で創出した経済成長額はタイ又はマレーシアの経済規模をも上回る点を指摘。2005年以降、1人当たりGDP額は急成長し、日系企業の得意分野である高級品や高機能品の生産やインフラ関係への投資はビジネスチャンスが大きいとした。但し、地域格差が大きいので、広い国土の中に経済発展レベルが異なる複数の国が存在するようなものであり、それを踏まえた事業戦略が必要だと指摘した。

昨年は大規模なデモが発生し現政権のジルマ大統領が支持率を落とす局面もあったが、仮に政権が変わっても政策が大きくぶれるリスクは限定される一方で、ブラジルが抱えるさまざまな問題の解決に必要な大胆な構造改革が進むこともあまり期待できないと説明。

最後にレアル安→輸入インフレリスク→金利引上げといったサイクルが経済成長に与える影響は限定的であると解説。今後も中長期的に成長のポテンシャルが高い国であり、ぜひ当地に来てその実態を正しく認識してもらったうえで、どういう切り口で何をすればいいか議論させてほしいと呼びかけた。

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