真に役立つAIサービスのために NTTテクノクロス AIセミナー2020

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AIで従業員のデジタル変革を成功に導く3つのポイント

NTTテクノクロス
プリンシパルビジネスプロデューサー
生駒 勝幸氏
NTTテクノクロス
イントラプレナー
安田 航氏

NTTテクノクロスの高度専門人材メンバーで、新たなソリューション創出を担うプリンシパルビジネスプロデューサーの生駒勝幸氏は、AI導入プロジェクトは、PoCが長引いて頓挫するケースが目立ち、せっかく導入しても効果を出せない企業も多いとして「AIは幻滅期に入ったという見方さえある」と現状を解説。適切にAI導入を進めるよう訴えた。

有効なアプローチとは?

AIプロジェクトの失敗は、流行に乗った導入ありきで、目的が明確になっていなかったり、過大な期待や目標を設定したりすることが背景にあり、「AIをはじめ、技術そのものは価値を生まない」と述べた。導入に向けては、潜在的なものも含めて課題やニーズを明確化。プロトタイプで仮説を検証。導入体験や導入効果の定量的検証を行い、さらなる課題を発見する――サイクルを回す、同社が培ってきたアプローチが有効と語った。

続いて、同社で新ビジネス創出を担うイントラプレナーの安田航氏が、AIを使ってデジタル変革を成功させるための3つのポイントを説明した。第1に、AIをビジネスプロセスの一部に導入するだけでは、ビジネス全体のスピードアップ、効率化の効果は限られるばかりか、プロセスの柔軟性を失わせかねないと指摘。「ビジネスプロセス全体を変革する中で、AI導入を考えるべき」と語った。また、AIを構築するうえで欠かせない、学習データの収集、業務ノウハウとデータを結び付けるラベル付けには、多大な手間がかかるとして、データ収集が容易なプロセスへの見直しも促した。

期待値を合わせる方法

第2に、AI導入プロジェクト失敗の典型的なパターンは、異なる考え方を持つメンバーをまとめきれなくなることだと指摘。技術者はAIシステムが正答を導き出す精度を求めたがるが、正答率がビジネス価値に直結するとは限らず、事業側との齟齬(そご)が生じやすい。そこで、成功指標や目標、収益など、認識を合わせるべき9項目を挙げている同社のキャンバスを紹介。また、AIができることを正しく理解して、期待値を合わせるための方法として、レゴブロックを使ってAIの原理を学ぶ研修も提案し、「AI導入プロジェクトに関係者を巻き込む工夫を」と訴えた。

第3に、製品の売り切りビジネスから、景気変動を受けにくいサブスクリプション型のサービス提供へ、といった「ビジネスモデルの変革にはデジタル化されたデータが欠かせない」とした。例えば、紙の帳票を画像データに電子化しただけの場合、システムは内容までは把握できないので、活用できなかった。だが、今は、AIを使って、画像・音声などの電子データの内容を認識、必要な情報を抽出できる形にする「デジタル化」が可能になっている。デジタル化したデータをシステムで活用することで「デジタル変革を起こし、ビジネスモデル変革につなげられる」と語った安田氏は「当社の『チエ作り』の成果をまとめたソリューションを展示ブースで見ていただきたい」とアピールした。

この将来像の実現に向け、同社は、テクノロジーの進化や複雑化する顧客課題に対応できる、高い専門性を持った人材を確保・育成する「高度専門人材」の仕組みを導入。NTT研究所の先端技術をはじめ国内外の技術を組み合わせて、新たなソリューションを創出する「ビジネスプロデューサー」、技術的専門性の視点から、問題の背後にある真の技術的課題を見極めて根本解決に導く「テックリード」、先端技術を顧客・社会にわかりやすく伝えて、普及に導く「エバンジェリスト」の3つの職種を新設した。困難な顧客課題を解決に導くとともに、若手にキャリアパスを示しながら、高度な専門性を持った人材集団を目指す。
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