
主催:NTTテクノクロス
ごあいさつ
代表取締役社長
串間 和彦氏
開会あいさつで、NTTテクノクロスの串間和彦社長は、1980年代の第2次AIブーム時からAIを使った製品で実績を持つ同社の歴史を振り返り、「当時はさまざまな制約があったが、今の第3次ブームのAIは使えるものになってきた」と語った。同社は2018年に「AIファースト」を宣言して、AIを組み込んだ製品サービス作りを推進。19年、NTTグループが発表した、エンド・ツー・エンドを結ぶ光ネットワークで、AIなどを高度に活用できるようにする次世代ICTインフラ「IOWN(アイオン)」構想にも積極的に関わっている。
同社は、NTT研究所の子会社を再編して17年に設立。以前は同研究所からの研究施策受注が主だったが、そこで蓄積してきた技術、ノウハウを使った製品・サービスを一般市場に提供している。串間社長は「プログラムやソフトウェアの単なるモノ作りにとどまらず、そこにデータや分析結果、ノウハウを組み込んだAI時代の新しい製品・サービスを提供する『チエ作り』の会社を目指していきたい」と語った。
ゲスト講演
AI時代を生き抜くための経営戦略
CEO/AIビジネスデザイナー
石角 友愛氏
AI技術・戦略を日本企業に導入するAIビジネスデザインカンパニー、パロアルトインサイト社を経営する石角友愛氏は、AIの浸透率が約40%の米国大手に対し、日本は1~5%程度と大きく後れを取っている現状を指摘。「あらゆることを変革する力を持ったAIは『新しい電気』ともいわれ、大企業だけでなく、中小企業でも導入が必要になる。AIを『人から仕事を奪う』といった脅威の対象とするのではなく、人とAIとの協業スキームを築くことが大事」と訴えた。
実用化されているAIは、具体的課題を解決する特化型AI(ANI)で、人の知能を再現する汎用型AI(AGI)とは異なる。ANIは、AIに与えるデータにラベル付けしたり、AIの答えを評価するなど「AIに教える」、AIが出した答えの意味をステークホルダーに「説明する」といった、人との協業が欠かせない。
カギを握るデータ収集
AIは、既成のパッケージ型か自社データを使って一から構築するカスタムメイド型かという軸。人の能力を強化するか作業を省人化するかの自動化型の軸、という2つの軸で位置づけすることができ、課題に合ったものを活用する。パッケージ型は、チャットボットなどのように簡単に導入できる反面、他社との差別化は難しい。競争力の向上を求めるなら、他社が容易にまねできないカスタムメイド型が望ましい、と説明。「AI開発の8割は、データ収集にかかっている。他社が持っていないデータが差別化につながるので、データ収集を軽視すると使えるAIにはなりにくい」と強調した。
カスタムメイド・自動化型AIの例では、パロアルトインサイト社が開発・導入を手がけた物流企業のAI配車システムの事例を紹介した。トラックの配車は、単に移動距離を最小化するだけでは不十分で、先に届けるべき配送先はどこか、といった現場の制約条件を反映しなければならないため、配車スケジュールを手作業で数時間かけて作る必要があった。導入したAIは、過去のパターンから制約条件を学習した割り付けができ、配車担当による最終チェックの修正内容も学びながら精度を高め、配車作業を短時間でできるようにした。石角氏は、AIを従来と同じシステム上で使えるようにするなど、現場との摩擦を抑えたことを成功要因に挙げ、「配車担当はAIに仕事を奪われるのではなく、AIをトレーニングする人材になることができ、協業スキームが生まれた」と語った。
AI導入、4つの視点
AI導入プロジェクトに向けて考えるべきこととして、石角氏は、複数の経営課題の中から、パロアルトインサイト社が独自に開発したFOME分析フレームワークを紹介した。AIが使うデータ収集の可否など実現可能性(Feasibility)のほか、開発するAIモデルを利用できる業務範囲などの応用性(Opportunity)、導入効果の検証可能性(Measurability)、AIの乱用を防ぐ倫理性(Ethics)の4つの視点で、AI導入を判断することを促した。
日本企業のAI導入が進まない理由の1つには、日本の技術人材がIT系企業に集中していて、経営や事業側の身近にいないという事情があり、「AIプロジェクトでは最初の段階から、信頼できるパートナーを入れることが大事」と述べた。
最後に、NTTテクノクロスの串間社長が、実証から先に進まなかったり、定着しにくい日本企業のAIプロジェクトの処方箋について質問。石角氏は、米国の大手企業がすでに02年時点で、AIのためのデータ収集パイプラインを整備してきたことに言及。「まさに、十数年かけてAIを構築してきた。AI投資は長期で考えることが大切」と語った。
AIで従業員のデジタル変革を成功に導く3つのポイント
プリンシパルビジネスプロデューサー
生駒 勝幸氏
イントラプレナー
安田 航氏
NTTテクノクロスの高度専門人材メンバーで、新たなソリューション創出を担うプリンシパルビジネスプロデューサーの生駒勝幸氏は、AI導入プロジェクトは、PoCが長引いて頓挫するケースが目立ち、せっかく導入しても効果を出せない企業も多いとして「AIは幻滅期に入ったという見方さえある」と現状を解説。適切にAI導入を進めるよう訴えた。
有効なアプローチとは?
AIプロジェクトの失敗は、流行に乗った導入ありきで、目的が明確になっていなかったり、過大な期待や目標を設定したりすることが背景にあり、「AIをはじめ、技術そのものは価値を生まない」と述べた。導入に向けては、潜在的なものも含めて課題やニーズを明確化。プロトタイプで仮説を検証。導入体験や導入効果の定量的検証を行い、さらなる課題を発見する――サイクルを回す、同社が培ってきたアプローチが有効と語った。
続いて、同社で新ビジネス創出を担うイントラプレナーの安田航氏が、AIを使ってデジタル変革を成功させるための3つのポイントを説明した。第1に、AIをビジネスプロセスの一部に導入するだけでは、ビジネス全体のスピードアップ、効率化の効果は限られるばかりか、プロセスの柔軟性を失わせかねないと指摘。「ビジネスプロセス全体を変革する中で、AI導入を考えるべき」と語った。また、AIを構築するうえで欠かせない、学習データの収集、業務ノウハウとデータを結び付けるラベル付けには、多大な手間がかかるとして、データ収集が容易なプロセスへの見直しも促した。
期待値を合わせる方法
第2に、AI導入プロジェクト失敗の典型的なパターンは、異なる考え方を持つメンバーをまとめきれなくなることだと指摘。技術者はAIシステムが正答を導き出す精度を求めたがるが、正答率がビジネス価値に直結するとは限らず、事業側との齟齬(そご)が生じやすい。そこで、成功指標や目標、収益など、認識を合わせるべき9項目を挙げている同社のキャンバスを紹介。また、AIができることを正しく理解して、期待値を合わせるための方法として、レゴブロックを使ってAIの原理を学ぶ研修も提案し、「AI導入プロジェクトに関係者を巻き込む工夫を」と訴えた。
第3に、製品の売り切りビジネスから、景気変動を受けにくいサブスクリプション型のサービス提供へ、といった「ビジネスモデルの変革にはデジタル化されたデータが欠かせない」とした。例えば、紙の帳票を画像データに電子化しただけの場合、システムは内容までは把握できないので、活用できなかった。だが、今は、AIを使って、画像・音声などの電子データの内容を認識、必要な情報を抽出できる形にする「デジタル化」が可能になっている。デジタル化したデータをシステムで活用することで「デジタル変革を起こし、ビジネスモデル変革につなげられる」と語った安田氏は「当社の『チエ作り』の成果をまとめたソリューションを展示ブースで見ていただきたい」とアピールした。
最先端AI技術を使う製品・サービスを展示
会場には、9つの展示ブースが設けられ、NTTテクノクロスが提供している、AIを使った製品・サービスを紹介した。
音声認識×感情分析でお客様の声をデジタル化
ForeSight Voice Mining®
NTT研究所開発の世界最高レベルの音声認識と、日本人との対話に特化した感情分析の技術を搭載。コンタクトセンターのオペレーターの応対支援や、スーパーバイザーのモニタリング支援に活用できる。
用件を話すだけ、すぐつながるコンタクトセンター
CTBASE®/Intelligent Router
用件を判断するAIが音声を自動認識して、適切な窓口へつなぐ自動振り分けを実現。顧客が、長い音声ガイダンスを聞いたり、ボタン操作する手間を解消。
ちょい足しで、もっと気が利く、システムに
BizFront®/SmartUI
既存システム画面に注釈表示や拡張UIを後付けするツール。入力欄の内容チェックやアラート、入力候補リスト表示などを加え、誤入力防止、入力効率化を図る。
ロボットがマルチリンガルで応対し、案内を行います
AMARYLLIS®
音声の認識・合成技術を使い、多言語コミュニケーション可能な案内ロボット。
人間らしく自然な音声であらゆるシーンに彩りを
FutureVoice® Crayon
NTT研究所の最新技術を使った音声合成エンジン。人と遜色ない感情表現を含む自然で多彩な音声をテキスト入力から作成。各種システムとも連携できる。
オペレーターとAIによるハイブリッドチャットサービス
Remote Attend®
24時間、素早く対応できるAIチャットボットの無人応答と、細やかなオペレーターの有人対応を柔軟に組み合わせ、コンタクトセンターの課題を解決。
世界初! 豚を撮影するだけで、手軽に体重を推定
デジタル目勘®
3Dカメラで撮影した豚の画像から高精度に体重を推定。最適な出荷時期を逃さない。
首のセンサーで異変を自動検知 牛を観察する人工知能
U-motion®
牛の行動を常時、モニタリングして、発情や疾病兆候を早期に発見できる。
カメラで撮影するだけで目視・確認作業を効率化!
かざして案内® for Biz
画像認識AIを使い、端末のカメラにかざすだけで、店舗の商品棚の配置確認や、機械の操作マニュアル表示ができる。