さらなる注目を集めるインフラファンドの未来 上場7銘柄の資産運用会社の担当者たちに聞く
――まず、皆さんの強みから教えてください。
江間 現在上場されているインフラファンドの中では最高水準の分配利回りを実現しており、年6~7%程度になります。国内上場第1号なので分配実績を長期で積み上げていることや、毎期増配である点が強みです。
新田 収益が安定していることがいちばんの特徴です。現在、保有している15の太陽光発電施設は、北海道から沖縄まで地域を分散させて災害や天候変動のリスク軽減に努め、安定した収益分配を実現しています。その安定性を背景に10カ年の業績予想を2017年3月に公表しています。
平井 私どものテーマは目下、ポートフォリオ規模の拡大と物件の地域分散で、現状46物件に投資しています。発電を特定の大型施設に頼らず、また日本全国に満遍なく太陽光発電施設を保有することで、自然災害や局所的な天候不順の影響を受けにくくしています。
青木 弊社の親会社であるカナディアン・ソーラーグループは、米ナスダック市場に株式を上場している太陽光発電関連ビジネスのグローバル企業で、発電モジュールの製造から発電施設の開発および管理・運営まで一気通貫で手がけています。24時間体制で世界中にある発電施設の状態を管理しているので、もし日本にある発電施設にトラブルが生じたとしても、即座に対応できるのが強みです。
鈴木 多様なスポンサーおよびサポート企業との協業体制が強みです。各企業は再生可能エネルギー発電施設に関して高い知見を持つ製造業者、保険会社、エンジニアリング会社、金融機関であり、技術やリスク管理、金融などのノウハウを集約することで高いシナジー効果が期待できます。
布袋田 メインスポンサーである伊藤忠エネクスは、さまざまなエネルギーを扱うエネルギー専門商社です。現在は太陽光発電施設のみに投資していますが、スポンサー企業のノウハウを生かして、将来的には風力や水力なども組み入れ、発電方法の分散によるリスク軽減、収益機会の拡大を目指します。
福地 私どものメインスポンサーは総合商社の丸紅で、再生可能エネルギー事業を積極的に推進しており、太陽光発電の事業実績に加え商社としてパネル販売などにも参入しています。そのほかのスポンサーであるみずほグループを含め、そのノウハウをファンドの長期安定的な運営に生かせるのが強みです。
――ESG投資への関心が高まっています。インフラファンドは再生可能エネルギー施設を投資対象としており、ESG投資には最適と思われますが、いかがですか。
江間 おっしゃるとおり、再生可能エネルギー施設を組み入れていますから、ESG投資になりえます。私募で非上場のインフラファンドもありますが、私たちは投資口が上場されていますから、透明性が高く、ガバナンスの観点からも望ましいと思います。
新田 個人が再生可能エネルギー施設に投資するのは資力の面でハードルが高いですが、インフラファンドの投資口は小口化されていますので、個人でも手軽にESG投資が可能です。持続可能な社会を実現するうえでも、インフラファンドの数がもっと増えることに期待したいですね。
平井 グローバルなESG投資への関心は、まさに再生可能エネルギー発電事業の追い風になります。RE100という、事業を行うのに必要な電気を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標にした企業連合があり、世界で221社、日本では30社が加盟しています。固定価格買取制度が終了した後は、こうした企業への売電も想定しています。
青木 発電施設を造る地域との共生も重要なテーマです。ESGの「S」は社会(Social)のことですから、地域住民から反対が出るような施設を建てることは許されません。それだけに、地域住民とのコミュニケーションを密なものにするため、地域イベントには積極的に参加するようにしています。
鈴木 ESG投資におけるインフラファンドの魅力は、ESGへの取り組み内容や実績が明確であること、そして少額から投資できるということです。つまり、インフラファンドの場合、投資対象が再生可能エネルギー発電施設であり、また、運用実績が定期的に開示され、さらに10万円前後から投資可能なことから、ESG投資に適した金融商品だと思います。
布袋田 インフラファンドへの投資は再生可能エネルギーへの投資そのものですし、二酸化炭素の排出量の削減につながるだけでなく、雇用の創出や土地の有効活用、税収の増加などを通じて、地方創生にも役立つと考えています。インフラファンドはそこに集まった資金のすべてがESG投資に回るという点で、一般企業のESG投資とは一線を画すものと考えます。
福地 日本の1次エネルギー自給率の向上や、二酸化炭素の排出量削減に貢献できるのが魅力でもありますね。具体的に申し上げると、当投資法人が取得予定の太陽光発電施設の想定年間発電量は、対火力発電比で年間約2万トンもの二酸化炭素排出量の削減効果が期待できます。