M&Aの成否を大きく左右する
PMIを見据えた人事デューデリジェンス タワーズワトソン

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多様な専門部門がチームに結集

同社には同業の人事コンサルティング会社にないコミュニケーション専門部門もある。異なる文化や言語を持つ企業間で相互理解を促進するためには、どのようにコミュニケーションを取ればいいのか。必要に応じてワークショップや研修なども行いながら、共通の価値観をつくり上げていくことを支援する部門だ。

また、クロスボーダーM&Aでは、退職金・年金や各種保険、福利厚生制度なども大きな問題になることがある。

こうした問題を専門に扱うベネフィット部門シニアコンサルタントの堀之内俊也氏によれば「退職金・年金の給付債務に対する積立不足や費用水準をただ確認するだけでなく、財務諸表上に現れない債務や、買収後の費用変動リスクの有無を精査する必要があります。たとえば海外大手企業の事業部門を買収する際、買収後も現在の年金や保険制度を維持しようとすると、規模の経済性が失われて多額の追加費用が恒常的に発生することなどがその例です。また新興国の企業では、医療補助や福利厚生関係の費用が給料よりはるかに大きく増加している傾向があります。こういう費用をPMIを想定して見積もり、それを適正に買収価格に反映させる必要があります。人事デューデリの段階でそういう問題点を適切に指摘し、対策を講じておくことで、買収後の統合と企業価値向上がスムーズに運ぶのです。退職金・年金のコンサルティングが発祥のタワーズワトソンならではの強みがまさに発揮される領域ではないでしょうか」という。

ほかにも同社には買収後の統合人事制度を設計する部門など、人事に関するさまざまな問題に対応する専門部門があり、M&Aの案件を扱うときにはそれぞれの部門の専門家が結集してチームをつくる。しかもそれは国内だけとは限らない。グローバルなコンサルティングファームであるタワーズワトソンは、世界37カ国に1万4000人のスタッフがいて、必要に応じてグローバルチームを組成する。だから、M&Aのターゲットがグローバルに展開する企業であっても、的確でスピーディな対応が可能なのだ。

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