「IT素人」コミュニケーション改革成功の秘訣 ツールの社内展開で押さえるべきポイント
受動喫煙対策の強化を目的とした健康増進法の改正に伴い、「加熱式たばこ」の存在感が高まっている。販売数量においては、まだまだ紙巻たばこが多いものの、営業担当者の仕事は様変わりしてきている。
紙巻たばこの場合、営業活動はコンビニエンスストアなどの販売店との折衝がメイン。いかに陳列棚の目立つ位置に置いてもらうかなど、販売店へのフォローを通じた売り場づくりが主な業務だった。しかし、加熱式たばこの登場により、その営業スタイルを変えざるをえなくなっているのだ。
日本たばこ産業(以下、JT)たばこ事業本部 セールスグループ 営業管理部 課長代理の小池悠介氏は次のように語る。
「加熱式たばこは、各社でデバイス(喫煙具)が異なるため、お客様に特徴をお伝えするなど、購入される前のコミュニケーションが重要になります。また、事業所や飲食店など、従来の販売店様以外へのアプローチも欠かせません。そこにはノウハウが蓄積されておらず、トライ・アンド・エラーを繰り返して“知”を集積しなければなりません。当然、この“知”を営業担当者が個人的に抱え込むのではなく、組織として共有する必要があります。これまで以上にお客様と対話する時間を必要とするため、業務の効率化も望まれていました」
全国のセールス部門への展開役は“IT素人”
そこでセールス部門は、全社導入が検討されていた「Microsoft Teams」の先行PoC(概念実証)に名乗り出たのだ。一部のチームでの利用だったが、実際に使ってみた小池氏は、その利便性の高さを感じ、全国のセールス部門への展開役を自ら買って出たという。
「『追加投資もなく、これだけ使えるツールがあるのに利活用できないのはもったいない』という一心でした。当社では、これまでもさまざまなツールを導入してきましたが、導入するまでがゴールになりがちでした。定着することを目指すなら誰かがやらなければと強く感じ、営業畑が長い“IT素人”だったのですが手を挙げたんです」(小池氏)
そんな小池氏の熱意もあって、2019年の春から全セールス部門へ「Teams」が展開された。その数は、社員約3000人。現場から積極的にアイデアも寄せられ、利活用が進んでいる。