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「企業変革支援」でマイクロソフトが進む道 顧客を「成功へと導く」マネジメントの極意

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  • 日本マイクロソフト 制作:東洋経済ブランドスタジオ
企業の先進的な取り組みや専門家へのインタビューを基に、「組織改革を推進・加速させるためにはどうすればよいのか」をひもといていく本連載(全6回)。第5回となる今回は、マイクロソフト製品のユーザー企業を強力に後押しするスペシャリストについて。「ワークスタイル変革」に照準を合わせ、チェンジマネジメントの実現にも深く関わる、カスタマーサクセスマネジャーとは――。
日本マイクロソフト
デジタルトランスフォーメーション事業本部
ワークスタイルイノベーション推進統括本部
業務執行役員
統括本部長
榎本直子氏

「カスタマーサクセスマネジャー(以下、CSM)」。文字どおり「顧客を成功へと導く伴走者」を指す。サブスクリプションビジネスにおいてCSMの役職を設けている企業は少なくないが、「日本でこれだけの人数を確保している企業はまれでしょう」と自信をのぞかせるのは、日本マイクロソフトでCSMチームを率いるワークスタイルイノベーション推進統括本部 統括本部長の榎本直子氏だ。

「現在、日本マイクロソフトには32名のCSMが在籍しています。われわれが担当する領域は、モダンワークプレースといわれるもので、すでに導入いただいている『Microsoft Teams』や『Microsoft SharePoint Online』、『Microsoft Exchange Online』、『Yammer』など、効率的に仕事を進められる製品の利活用を徹底的にサポートします」(榎本氏)

“使いこなす”を実現するチェンジマネジメント

製品の売り上げ責任はCSMの役割には一切入っていない。自分たちの製品に自信を持ち、使いこなしてもらえれば、おのずと継続してもらえると考えるからだ。「マイクロソフトの製品を使いこなしてもらえれば、ワークスタイルは必ず変革させることができる」(榎本氏)との思いも強い。

ただし、この“使いこなす”というのが難しい。いくらIT部門が製品の利便性を訴えたところで、なかなか定着しない。とくにコラボレーションツールのような製品は、チーム全体で使ってこそ真価が発揮できるため、導入担当者としては悩ましいところだろう。そこで、マイクロソフトのCSM部隊では、チェンジマネジメントの領域まで踏み込み、そのメソッドをユーザー企業に提供しながら強力な伴走を行うのだ。

では、マイクロソフトのCSMはどのようにユーザー企業をサポートしているのだろうか。

ワークスタイルイノベーション推進本部 カスタマーサクセスマネジャーの坂本奈央氏は次のように語る。

日本マイクロソフト
デジタルトランスフォーメーション事業本部
ワークスタイルイノベーション推進本部
カスタマーサクセスマネジャー
坂本奈央氏

「われわれCSMは、全員チェンジマネジメントの資格認定を受けています。その知識やノウハウを使って、ユーザー企業の推進者の方々と組織変革に取り組んでいくのですが、目指しているのは、お客様ご自身にわれわれと同じような変革や利活用を推進する役割を担っていただくことです。そこで、利活用推進者『ESM(Employee Success Manager)』を養成する、チェンジマネジメントのメソッドにのっとった講座なども提供し支援させていただきます」(坂本氏)

ユーザー企業向けに提供するESM講座は、1日半という凝縮された日程ながら、ざっと挙げても以下の内容を体系的に学べるという。

1.ストラテジー・ビジョン策定
現在の状況を把握しつつ、働き方改革のプロジェクトのビジョンを明確化する

2.スポンサー
経営層の積極的な関与の重要性を理解し、プロジェクトを支援するスポンサーを獲得する

3.ガバナンス
利活用推進チームの組成とプラン遂行に向けたPDCAサイクルを構築する

4.シナリオ
各部門やユーザーにおいて、具体的にどのような働き方へと変化するのか、ビジョンから逆算して考える

5.KPI
働き方改革の貢献・進捗具合の可視化方法を知る

6.アンバサダー
現場での利活用推進者を立て、推進チームと一体になりボトムアップ的に推進させる

7.コミュニケーション
社内での認知度を向上させるPR施策などを洗い出し、全体的なスケジュールを作成する

8.ESMの勘所
利活用推進者として働いた経験を持つCSMがノウハウや体験談を共有する

9.各社のプラン発表
差し支えない範囲で各社が発表し、修了式を行う

この講座には、IT部門の担当者だけではなく、働き方改革やビジネス変革を目指すコアメンバーにも参加してもらう。また、15社ほどを集め、同じ会場で講座を進める。複数企業で一緒に学んでもらうことで、それぞれの企業から出てくる疑問やつまずきを含めた情報共有により、広く学んでもらうのが狙いだ。

コラボレーションツールの活用・定着の進め方

CSMは、企業内の推進者たちのスキルアップをサポートしながら、各企業に合わせた組織変革の突破口を探っていく。

CSMが担当したある企業では、紙の資料を用いた、議事録などもスピード感のない旧態依然とした会議を変えようとしていた。その際、まずスポンサーとなる社長に「Teams」を使いこなしてもらい、下の役職者に対して「えっ、まだ使ってないの?」と言ってもらえる状況をつくった。当然、活用と定着は進んでいった。

「簡単そうに聞こえるかもしれませんが、実際、企業のトップに使っていただくまでにはそれ相応の汗をかいています。例えば、スポンサーの状況が否定的であれば、まずはマインドセットを変えるところから動きますし、抵抗される方をどう味方につけていくかなど、推進者側のコアメンバーの方々は、事細かに裏側で変革のムーブをつくる努力をされています。われわれはESMのメソッドやほかの成功事例のノウハウを基に、現場に入りながらサポートしていきます」(坂本氏)

よき伴走者の存在は、業種を問わず多くの企業に、CSMを活用しながら変革を実現する手応えを感じさせることにもつながっている。

「業種にかかわらず、営業チームの業務改革という点では成果を感じやすいこともあり、皆さんワークスタイルを激変させています。『Teams』を使ってどこからでも会議に参加し、“ホウレンソウ”をいちいち意識しなくても連携が取れる。単純ですが、これだけで1日の訪問社数が倍増した例も少なくありません」(榎本氏)

こうした、ビジネス現場での取り組みだけではなく、災害対策を起点にワークスタイル変革に切り込む組織も目立ってきて、「Teams」を利用して現場の被害状況をリアルタイムに把握したり、台風の際の路線状況の情報共有に活用したりするほか、小売店が被害に遭った支店の迅速な復旧にも利用しているという。

答えはすべて「ユーザー企業の中」にある

こうしたユースケースを共有することも重要だが、榎本氏は「われわれよりも、ユーザー企業にアイデアやインサイトがあると考えています。これまでのテクノロジーのように、特殊な知識を必要とするものではなく、現場で使いこなすことで効果を発揮する製品だけに、答えは現場のお客様が持っているんです」と言い切る。

「あるお客様は、店頭で使用する物を倉庫へ格納するときや、営業時間終了後の点灯依頼申請に、以前は紙の申請書を提出しなければならないなど、紙と承認プロセスの往復で時間がかかるフローになっていたそうです。それを現場の方が『Teams』を使ってリアルタイムでの申請処理を可能にしました。こうしたアイデアは、われわれでは出てきません。われわれができることはあくまでもお客様のインサイトが出やすい環境づくりのサポ―トをすることなんです」(榎本氏)

これまで、CSM部隊がサポートするのは、大企業が前提とされてきたが、日本マイクロソフトでは、グループ会社のLinkedInを通じて、ESM養成講座のオンライン版の無償提供を実施するなど、より多くのユーザーのサポ―トを考えている。

「オンライン講座を活用いただくだけでも、実践していただけることはたくさんあると思います。考え方がわかってしまえば、例えば『今の課題をデザイン思考で考えていこう』といったことも、付箋さえあればできるわけです」(榎本氏)

「私がいつも言っているのは、『まずは、やってみましょう』ですね。全社的にというのが難しかったとしても、まずは自分たちの部署のデジタル化からでも、できることはたくさんあります。そこからの巻き込み方などは、われわれにご相談いただいてもいいですし、オンライン講座を活用していただいてもいいですし、とにかく動き始めることが大切なんです」(坂本氏)

次回は、CSMの支援によってコミュニケーション改革を実現した企業の取り組みを紹介する。