モビリティ革命の進行と商社の役割 商社シンポジウム2019

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パネルディスカッション

若手・中堅の商社パーソンが語る
『モビリティ革命の進行と商社の役割』

モビリティ革命における、専門家からの商社への期待を受けて、現場で活躍する商社員が、モビリティ革命最前線の取り組みや、課題、将来の夢を語った。
兼松
電子・デバイス部門電子事業創造室
延川裕樹氏

兼松の延川裕樹氏は米国西海岸で、電気自動車(EV)ユーザー向けスマホアプリサービスの実証実験を展開。EVの航続距離や充電器稼働状況を表示して、適切な充電場所を選択できる機能を提供し、EVユーザーを支援する。充電時間の長さが課題と指摘した延川氏は、提供中の充電器利用実績情報に加え、ストレスなく充電を待てるよう充電器近辺のカフェ等の情報提供を構想中。その実現のために「社会のあらゆるデータを提供し合えるように企業間の信頼醸成を図りたい」と話した。


住友商事
モビリティサービス事業第二部部長付
近藤良太氏

住友商事の近藤良太氏は、出向先の自動車メーカーでモビリティサービスの企画、事業化を担当。住友商事従業員対象のオンデマンド・バス・サービスの実証なども手がける。高齢化の進展などで重要性を増す移動サービスを「行きたい時に行きたい場所に行ける『どこでもドア』のようにしたい」と話す近藤氏は、小売り、ITなど多彩な事業をグループに持つ商社の総合力を生かした事業を検討。ほかの企業のモビリティ事業計画も支援しながら「企業間連携で、新しいビジネスを作りたい」と語った。


豊田通商
ネクストモビリティエレクトロニクス事業部
自動運転PFグループリーダー
永久保太一氏

豊田通商の永久保太一氏は、複数台のトラックが通信でデータをやり取りしながら1列に並んで高速道路を走る「隊列走行」の国実証事業で事務局を担当。空気抵抗削減による燃費改善のほか、後続トラックを無人化すれば運転手不足の解決につながると期待されている。ただ、技術的に可能であっても、実装段階では、ドライバーの休憩の困難さなどの課題も浮上するとして、「技術ありきではなく、実現を目指す際にユーザーのメリットを明確にして、現実的な事業にしていく必要がある」と強調した。


丸紅
航空宇宙・防衛事業部部長代理(兼AIRO社取締役)
片岡康弘氏

丸紅の片岡康弘氏は、訪日外国人客増加に伴って増える海外航空会社便に提供する、グランドハンドリング業務の人手不足を解決するため、空港内での車両の自動運転に取り組んでいる。現在は、実証実験により想定外のさまざまな障害をクリアしている段階で「まず空港という限られたエリアで自動運転の成果を出せば、公道へとエリアを広げられる」とした片岡氏は「世の中の役に立ちたいという熱い思いを持つ商社の仲間、ライバルの皆さんと変革を牽引したい」と語った。


ファシリテーター:テレビ東京・キャスター
佐々木明子氏

最後にファシリテーターのテレビ東京、佐々木明子氏が「業界の垣根をなくすモビリティ革命の時代には、商社の皆さんが人と人を『つなぐ』人間力を発揮することが大事になる」とまとめた。

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